イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ自治区ガザでイスラエル兵が攻撃を受けたことへの報復として、イスラム組織ハマスに対する「強力な攻撃」を指示した。2週間余り続いてきた米国仲介の停戦の行方に疑念が生じている。

首相府は28日、「安全保障に関する協議」を経てこの指示は出されたとX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。

イスラエルのカッツ国防相は、イスラエル兵への攻撃に加え、人質の遺体を返還するという約束を破ったことで「ハマスは重い代償を払うことになる」と表明。ハマスによる今回の攻撃について、「越えてはならない一線を踏み越えたものであり、イスラエル国防軍は強い力で応じる」と声明で述べた。

イスラエル軍当局者によると、ハマスの戦闘員は停戦合意の一環としてイスラエルが管理しているラファ地区でイスラエル軍を攻撃した。

一方、ハマスは通信アプリ「テレグラム」で、攻撃には関与していないと主張し、停戦合意順守を改めて表明した。ハマスは先に、イスラエルによる合意違反を理由に人質1人の遺体の引き渡しを延期するとしていた。

イスラエルによる発表の直後、AP通信はガザ地区のガザ市を含む各地で戦車の砲撃音や爆発音が確認されたと伝えた。APによると、イスラエルは攻撃開始前に米国に通告していたという。

バンス米副大統領は議会議事堂で記者団に対し、「ガザ地区内のハマスあるいは何者かがイスラエル兵を攻撃したことは把握している。イスラエルが対応するとみているが、それでも大統領の停戦は崩れないと思う」と述べ、合意維持への自信を示した。

イスラエルの攻撃指示の報道を受け、通貨シェケルは対ドルで一時0.4%下落し、この日の最安値を付けた。

原題:Israel Orders Strikes on Gaza in Fresh Threat to Ceasefire (2)(抜粋)

(ハマスのコメントなどを追加し、更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.