(ブルームバーグ):自民、公明両党は10日、1999年から続いた両党の協力関係に終止符を打った。公明党の斉藤鉄夫代表は国会内で自民の高市早苗総裁と約90分間会談したものの、企業団体献金の受け皿に関する溝を埋められず連立が解消された。
会談後に会見した斉藤、高市両氏の発言は次の通り。
斉藤氏の発言の要旨
- 協議では公明から三つの懸念点を提示
- そのうち2点については、高市総裁の丁寧な説明で認識の共有が図られた
- しかし政治とカネに関する基本姿勢について意見の相違が残った
- 自民には企業団体献金の受け手を党本部・都道府県連に限定する規制強化や政治資金記載漏れ問題の全容解明、けじめをつけるための具体的行動を要望
- 自民からは「これから検討する」という不十分な回答で極めて残念
- 自民を巡る政治資金問題が相次ぎ、国民の政治不信が深まっているが国民の根強い不信感の払拭には至っていない
- 決着済みと国政運営に取り組む姿勢は国民感情とかけ離れており、これでは政治への信頼回復はおぼつかない
- 自民の不祥事を国民に説明し応援することには限界がきている
- われわれの要望に自民から明解かつ具体的な協力が得られず、改革が実現不可能なのであれば、首班指名で高市早苗と書くことはできないと伝えた
- 結果として、自公連立政権を白紙化する意向を示した-これまでの関係に区切りをつけることとしたい
- ただし、これまでの継続性の観点から何でも反対の敵方になるわけではない。わが党にも責任がある
- これまで準備してきた予算案や法律、政策ごとに賛成すべきものは賛成する
- 公明が擁立する衆議院小選挙区候補への自民党からの推薦は求めない
- 自民候補への推薦も行わない
- 過去26年にわたり自民と共に協力してきたことへの感謝を申し上げる
高市氏の発言の要旨
- 今回の会談は地方から寄せられた声を伝えるという目的で、公明側の申し出に基づいて開催されたものだった
- 何かを決める場ではなく議題は地方の声の共有に限られていた
- 前回の会談で公明から示された懸念点については真摯(しんし)かつ速やかに対応すべく、党内で検討を進めていた
- しかし、本日の会合では、政治資金規正法改正に関する公明案についてその場で賛否を明らかにするよう求められた
- 企業団体献金の受け手をどこにするかという点は、総裁一人の判断で決めるべきものではない
- 総裁と幹事長の二人だけで決めるのは自民党の文化にもルールにも反するため、残念ながらその場では受け入れられなかった
- 党内に持ち帰って手続きにのっとって速やかに対応したいと伝え、来週にも再度会談を開くことを求めた
- 政治改革推進本部の議員を連休中でも呼び戻し、土日月の3日間を使って議論を進めたいと提案した
- しかし、その場での公明案の受け入れを求められた
- 公明側は具体的な回答ではないとして連立離脱を一方的に伝えられた
- 26年間にわたり協力関係を築いてきた中で、このような結論になったことは大変残念
- 政治資金の透明性向上や第三者によるチェック機能の強化については、自民として前向きに取り組む
--取材協力:横山恵利香.
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