(ブルームバーグ):米紙ワシントン・ポスト(WP)のオピニオン欄エディター兼コラムニストのルース・マーカス氏が10日、辞任した。
これに先立ち、同紙のオーナーでアマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏がオピニオン欄の編集方針を変更したことなどを批判するマーカス氏のコラムが、ウィル・ルイス最高経営責任者(CEO)によって不掲載とされていた。

ベゾス氏は先月、「個人の自由」と「自由市場」への支持に反対する意見をオピニオン欄に掲載しないと表明。これを含むWPの方針転換を受けて、複数のトップジャーナリストが退社していた。
米公共ラジオNPRが入手したマーカス氏の辞表によると、同氏は「個人の自由と自由市場という2つの柱から逸脱する意見をオピニオン欄に掲載しないというベゾス氏の発表は、コラムニストはオーナーが容認し得ると判断した意見ではなく、自身の信念に基づいて執筆しているという読者の信頼を損なう恐れがある」と辞任の理由を説明した。
マーカス氏はWPに40年余り在籍していた。WPの広報担当者にコメントを求めたが返答はなかった。
WPのオピニオン欄編集長だったデービッド・シップリー氏はベゾス氏の方針変更を受けて2月に退任している。
WPは昨年10月、米大統領選挙で特定の候補者への支持を表明しない方針を発表。当初は、民主党候補で当時副大統領だったカマラ・ハリス氏を支持する草稿を準備していた。
この決定は同紙の内外で批判の嵐を巻き起こし、複数の編集者やライターが辞職。購読者の8%に相当する最大20万人が解約したとNPRが伝えた。
先月、ベゾス氏がオピニオン欄に関する決定を下した後、48時間で7万5000人余りのデジタル購読者が解約した。
2013年にWPを買収して以降、ベゾス氏は最近まで編集方針にほとんど介入してこなかった。ベゾス氏はドナルド・トランプ氏とは10年近く前から対立関係にあったが、トランプ政権下では同氏に対する批判をかなり抑えている。
こうしたベゾス氏に対し、WPよりも自身の商業的利益を優先しているとの批判が寄せられている。同氏はクラウドコンピューティングサービスや自身の宇宙ベンチャー企業ブルーオリジンなど、連邦政府との大規模契約に依存する事業を展開している。
原題:Washington Post Columnist Quits After Article Killed (1)(抜粋)
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