山梨県産ブドウで最も高い人気を誇る、シャインマスカットに異変です。

ここ数年、育成中に花が咲かない「未開花症」が全国の産地で確認され、国や県が調査に乗り出す方針です。
甲府市のブドウ農家 古谷崇さん:
いつ出るかわからないだけに、不安な面がある。

甲府市のブドウ農家が心配しているのは、シャインマスカットの花に起きる障害=「未開花症」です。
甲府市のブドウ農家 古谷崇さん:
これがブドウの房で、これから花が咲く時期になる。

未開花症は開花する時に、花を覆うキャップ状の部分=花冠が外れず、正常に花が咲かない障害です。

茶色に変色した部分が障害の起きたところです。
この症状が出ると、粒が変形するなど商品価値が著しく低下してしまうといいます。
甲府市のブドウ農家 古谷崇さん:
一昨年、いくつかの圃場で出た。この状態ではわからなくて、5月に入って花が咲いて、その後ちゃんと粒になっていれば大丈夫。油断はできない。
シャインマスカットの未開花症は、数年前から全国のブドウ産地で相次いで報告されています。
県農業技術課によりますと、山梨県内では2017年に初めて確認され、2021年はおよそ200件、2022年は100件程の相談が寄せらました。
今のところ栽培面積に占める発生の割合はごくわずかで、生産量の影響は小さいということですが、気がかりなのは原因が不明なことです。
功刀徹 県農業技術課長:
(障害が)出る年と出ない年があって、出た園の聞き取りもやっているが、明らかにこれがっていう原因がなかなかつかめていない。
シャインマスカットは2021年度の県内生産額が246億円余りで、ブドウ全体のおよそ6割を占めます。
山梨だけでなく、全国で盛んに栽培されていることから、農林水産省は未開花症の全国的な実態調査を行う方針を示し、県も調査に乗り出すことにしています。
功刀徹 県農業技術課長:
発生状況の確認をしながら原因究明をして、早めに技術確立をしていきたい。

開花時期は5月から6月で、当面の対策として県は先端以外の余分な花を落とす際、房の上にも多めに花を残し、障害が出なかった部分を育てることで品質が保てるとしています。

ただ繁忙期にかかる「もうひと手間」は避けられず、フルーツ王国維持のためにもいち早い原因の解明が求められています。