今月は5500品目の食品が値上げとなります。その影響は私たち一般の消費者だけでなく飲食店や酪農家に暗い影を落としています。苦境に立たされる事業者の「今」を取材しました。

山梨県昭和町にある飲食店「伊駒」。


保坂孝雄さんが1人で切り盛りしていて、お好み焼きやモダン焼きが人気です。


お客さん:
めっちゃおいしいです。


お客さん:
量も安いのに大人4人集まって満腹になるぐらい食べられるんで、すごくありがたいですね。


このお好み焼きに値上げの波が押し寄せています。


伊駒 店主 保坂孝雄さん:
もうほとんど(食材が)値上がりしてますね。


小麦を始め、イカや中華麺などあらゆる食材の高騰に歯止めがかかりません。


特に豚肉はこの3か月間に1kg100円以上の値上げが2度ありました。


さらに、これから値上がりするものも・・・。


保坂さん:
うちはこれ使っている「京花けずり」。1998円が2376円に。


仕上げに欠かせない鰹節が2月から大幅値上げです。さらに追い打ちをかけるのが・・・。


保坂さん:
電気代ってのは1か月に1回請求、これだけ引き落としますよって来ますけど、その数字を見て「えっ!」ってなります。


電気代の値上げです。
こちらの店は冷蔵庫や製氷機を常に稼働しなければならず、エアコンや照明は営業中は消せません。


節電を心がけているものの2023年1月の電気代は約4万8000円で去年より1万円以上アップしました。


保坂さん:
何とかやっていくしかないでしょうねとりあえずは。ただ先はわからないな。


飲食店以上に値上げの影響が深刻な業界があります。

富士河口湖町にある牛乳を生産している池田牧場です。


池田牧場 池田誠司さん:
ちょっとどうにもならないですよね、はっきり言って。


池田牧場は乳牛約70頭を飼育し、牛乳の売上は毎月約800万円に上ります。


しかし、2022年10月ごろから干し草やトウモロコシなど海外産のエサが著しく高騰し月々約500万円だったエサ代は今では600万円に増大しました。


池田さん:
(値上げの影響で)北海道からロールを買ったりしてますけど、ちょっと変なものがあると乳量落ちちゃうので、安いものを使えばいいってわけでもなくてなかなかうまくいかないなという感じです。


また、冬場はヒーターをフル稼働することもあり、牛舎の電気代が月に約40万円と2022年の2倍にアップしました。


コストが膨れ上がる一方、牛乳の出荷価格はあまり変動しないため、利益がなくなりつつあるのです。


池田さん:
(牛に)乳出してもらうっていうのが対策くらいしかなくて。私たちの力で何とかできるっていう範囲はもう超えているかなって思うんです。


池田さんは酪農の経営は自力では限界寸前で、早急な支援が必要と話します。


池田さん:
なにか対応策といってもこれと言ってないような状態だから、国に何とかしてくださいっていう感じです、現状では。


東京電力は現在、約3割の値上げを国に申請していて、値上げの苦境はまだまだ続きそうです。