「ここで踊るの?」という戸惑いが頭をよぎっりましたが、すぐに立ち上がりました。

ゆっくりと姿勢を正し、音楽もない静寂の中でルンバを踊り始めます。
30秒ほどの短い時間。
ですが、その所作はしなやかで、ダンスを知らない面接官たちも、やがて見入ってしまいます。踊り終えると、自然と拍手が起こりました。
その時、別の面接官がふと視線を下げると…
別の面接官:
「君の革靴……靴底が剥がれているけど、大丈夫?踊りすぎたから?」
安福アナ:
「新しい靴を買う時間がなくて……」
その一言に、面接官たちの表情がやわらいだ。
全ての試験を終え、数日後――。
ポストに届いた封筒を開けると、そこには「合格」の二文字。