被告席に座った男は上下ともグレーのジャージ姿だった。

これから義理の娘に対する性的暴行の罪を審理する法廷は重い雰囲気が感じられたが、被告は落ち着いているように見えた。

その裁判で親という立場を利用した卑劣な犯行の実態が次々と明らかになった。

起訴事実は全部で3件。

1件目は今年、県外のホテルで義理の娘に性的暴行を加えたとする不同意性交等の罪

2件目は去年、公共施設の多目的室で義理の娘にわいせつ行為をし、その姿を撮影したとする性的姿態等撮影の罪

3件目はおととし、県外のホテルで自身の影響力に乗じて性的暴行を加えた監護者性交等の罪

起訴内容に対し、被告は…。



「間違いありません」

落ち着いた声で淡々と認めた。

【検察側冒頭陳述】
その後の冒頭陳述で検察が事件までの経緯を明らかにした。