tys NEWS DIG編集部が、印象残った2023年のニュースを振り返ります。
春のセンバツ高校野球では、光高校が3度目にして甲子園初勝利をつかみました。悲願の1勝の下地には29年前の球児が高らかにうたった、仲間への思いがありました。(2023年3月放送・配信を再掲。肩書き・年齢等は当時のもの)
春のセンバツ高校野球が今月18日、開幕します。センバツは初、甲子園出場は1994年の夏以来の山口県立光高校。29年前、杉村衡作キャプテンの選手宣誓はファンの間で「甲子園の歴史を変えた」と言われるほど大きな話題を呼びました。あの選手宣誓はどのようにして生まれたのか。母校の晴れ舞台を心待ちにする杉村さんに話を聞いてきました。
甲子園の歴史を塗り替えた選手宣誓
1994年、夏。光高校はサヨナラ勝ちで2年連続、2度目の甲子園出場を決めた。野球部を率いたキャプテン・杉村衡作。のちに甲子園の歴史を塗り替えるこの男も喜びを爆発させた。

あの夏から29年。「甲子園の歴史を変えた」と言われた男は今、滋賀県にいた。大阪の会社に勤めながら、毎週日曜日、自身の子どもが通う小学校のPTAでソフトボールをするのが楽しみだ。
仲間のために~キャプテンシーは今も健在

午前9時開始だが、杉村さんは7時にはグラウンドを訪れる。仲間が気持ちよくプレーできるようにグラウンドを整備するためだ。前日の雨の影響で、この日は水たまりが出来ていた。1人黙々と、スポンジで吸い上げる。グラウンドの端の、小さな水たまりまで、丁寧に。

杉村衡作さん
「メンバーが荷物を置いたりするんで、水を抜いておこうかなと」
仲間を思うキャプテンシーは高校野球を離れた今も健在だ。
高校野球で学んだ「周囲への感謝」

杉村さん
「きつかった思い出はいっぱいですけど、礼儀なども教えてもらったと思いますし、何よりも感謝ですかね。結局何でも1人じゃできないなっていう。自分1人で打って投げて守って勝てるわけではないので」
2年連続の夏の甲子園で大役を

1994年、夏の甲子園。光高校は2年連続となる夏の甲子園の出場を決めた。目標は初勝利だったが、組み合わせ抽せん会でまさかの大役を引き当てる。開会式での選手宣誓だ。
杉村さん
「うわあ俺や、って。チームメイトはむっちゃ盛り上がってましたね。あいつ引きやがったみたいな感じで」
仲間の思いをのせて~これまでとはまったく違う選手宣誓を
従来の選手宣誓は「われわれ選手一同は」のおなじみのフレーズから始まるのがほとんどだった。「どうせやるなら、これまでのかたちを大きく変えよう」と考えた。真っ先に浮かんだのはここまで苦楽をともにした仲間のことだった。
杉村さん
「けがをして入れないメンバーが1人いて。彼とはすごく仲がよくて、ものすごい練習してたのも知っているので、まず彼の、一緒に頑張った仲間のために何かできることがないかなという発想がありました。プラスアルファで、私たちは甲子園にたまたま出られましたけど、当然県大会で負けてしまった学校がいて、みんなの思いをもって自分たちはこの場に立たせてもらっているので、そういうところをうまく言葉にして全国に伝えられたらなという思いで作りました」
寝る間も惜しんで練習したという。
杉村さん
「消灯時間を過ぎてから部屋でぶつぶつぶつぶつ、たぶん140〜150回はやったんですよね。だから決まってから本番終わるまではちょっと野球どころではなくなりましたけど」
迎えた本番、杉村さんの選手宣誓は甲子園の歴史に刻まれる。

杉村さん・選手宣誓
「宣誓。野球を愛する私たちは、あこがれの甲子園球場から、全国の仲間にメッセージを送ります。ファイト・フェアプレイ・フレンドシップの頭文字「F」のマークをあしらった高校野球連盟の旗のもと、私たち選手一同は、苦しい時はチームメイトで励ましあい、辛い時はスタンドで応援してくれている友人を思い出し、さらに全国の高校生へと友情の輪を広げるため、ここ甲子園の舞台で一投一打に青春の感激をかみしめながら、さわやかにプレイすることを誓います」
大きな反響、選手宣誓の主流に
従来の型にとらわれず、思いの丈を素直に表現したこの宣誓は、多くの人の心を打った。以降、甲子園での選手宣誓の主流にまでなった。
杉村さん
「卒業する前に学校に届いていたファンレターをいただいたんですけど、300通くらいだと思います。読ませていただいて、全員一応返事は出させていただきました。自分の中ではそんな大それたことをしたとは思ってなかったんですけど、あとあとの反響を見ると、なかなか俺すごいことをしてるなっていう感じになりましたね」
後輩たちが29年ぶりの甲子園出場へ

惜しくも初戦で敗れ、目標としていた甲子園初勝利はならなかった。しかしこの春、後輩たちが29年ぶりの甲子園出場を果たす。
杉村さん
「もう出ることはないのかなというくらいの感覚でいたので、出ると決まった時はうれしかったですし、出てくれてありがとう。今のメンバーがみんな頑張って出てくれたので、ほんとに感謝だなという思いでいましたね」
最後に、杉村さんから甲子園へと向かう後輩たちへのメッセージだ。
感謝忘れず、力出し切って

杉村さん
「自分たちのやってきたことをしっかり信じて、出し切ってもらったら、それでいいなと思います。ちょっとだけ周りの人に支えていただいてるんだなっていう感謝の思いは忘れずに持ちながら、自分たちの持っている力を全部出し切ってもらったら十分かなと思います」













