5月に入って、全国でクマの目撃情報が相次いでいます。山口県をみると県東部に集中し、5月に入って24日正午までに寄せられたクマの目撃情報は43件。そのうち、12件は周南市、8件は岩国市です。県内では今のところ、人が襲われる被害は出ていませんが、周囲ではパトロールを強化するなど、警戒が続いています。もしクマと遭遇した時はどうすればいいのか、専門家に聞きました。

山口博物館 動物担当 田中浩理学博士
「メスを求めてオスが、今から交尾に向かっていろいろと探っていく時期になります。オスのほうは今まで行ってないエリアに出かけてしまう」

動物学を専門とする山口博物館の田中浩さんによると、12月から3月まで冬眠していたクマは4月ごろから目覚め、近辺で活動を始めます。そして5月から6月にかけて交尾期となり、オスがメスを探して歩き回ります。田中さんは、一連の目撃はメスを探しているオスグマが誤って市街地に出てしまったためではないかと分析します。また全国で増えるクマの出没は、人の生活環境の変化も影響しているとみています。

田中理学博士
「50年、60年前は、まきを取りに山に入っていた、山は利用する空間だった。今は家の裏が山でも人が入っていないから、そこまでは安心して動物たちはやってきます。人の活動とクマの活動が、前はバリアがあったんですけど、それがなくなってしまっている」

山口県内に生息しているのは、雑食性のツキノワグマです。北海道などに生息するヒグマとは違い、おだやかな性格で、植物を主食としていますが、遭遇すると危険もあると言います。

田中理学博士
「人に会ってはいけないところで会ってしまうと、クマもびっくり、人もびっくりということになり、そういう時に事故が起こったりします」

ツキノワグマは強じんな爪をもっているため、注意が必要です。もし遭遇してしまったらどうすればいいのでしょうか。