海上自衛隊のパイロットを教育する教官で作る、山口県下関市の小月航空基地・アクロバットチーム「ホワイトアローズ」に迫りました。


午前7時・・・基地は早くも動きだしています。 
格納庫から姿を現したのは、プロペラ機T-5。海上自衛隊のパイロットを夢見る航空学生が練習する初等練習機です。

海上自衛隊小月航空基地は、広さ約154万平方メートル。東京ディズニーランド3個分、東京ドームでは33個分の広さです。海上自衛隊の航空学生が、最初に教育を受けるところで、4つの部隊から編成されています。実際の飛行機に搭乗して訓練を行うのが、第201教育航空隊。学生の操縦教育を行う教官で作るのが、特別曲技飛行チーム「ホワイトアローズ」です。

3年ぶりに基地祭で一般の人へ披露する前日(10月29日)。本番へ向け最終調整です。

海上自衛隊第201教育航空隊司令・宮崎研三1等海佐:
「きょうは取材が入っているけれど、ギャラリーも多いんだけれども、過信慢心することなくやっていく、いいな」

ホワイトアローズメンバーの主な任務は、学生の教育です。第201教育航空隊で普段は教官として、時にアクロバットチームのメンバーとして活躍しています。まさに2刀流。学生にとってホワイトアローズとは?

学生:
「あそこまで航空機で近接して、フライトするとなると、車と違ってブレーキ等がないので、急にピタッと動きも止めれることも出できない中で、息を合わせて近づいて、操縦するのはすごいなと思います」
学生:
「初めて見た時は、すごいなという印象で。実機乗ってみて、編隊飛行をして、経験してみて、さらにすごいなっていうのは感じます。かっこいいなと思いますね」

学生の憧れのホワイトアローズ。40代から50代の凄腕の教官たちです。1機に2人ずつ乗り込み、4機で編隊を組みます。学生に教育をする教務フライトとは違い、安全、確実に、見栄えのいい展示飛行を実施すること。

編隊長を務めるのは、神代貴之3等海佐(福岡県出身)。入隊して32年、主にT-5と哨戒機P-3Cに搭乗していました。飛行時間は約1万800時間。

神代編隊長:
「風が吹くと飛行機は風で流されてしまう、毎回どこから吹いているのかわからない風に対して、いつも同じような角度で会場に入ってこられるように誘導する、経路管制には自信がある。単機の動きも当然大切なんですけど、4機チームとして動きますので、チームワークというのを重視して、訓練をしています」

ホワイトアローズの前身は1990年代後半、教官の技量向上を目的に発足した技術研究班。のちに、2001年特別曲技飛行チームとして「ブランエール」が編成されました。しかし教育への影響から、多くで展示飛行をやめ、小月航空基地だけで「ルーキーフライト」として活動します。その後、海上自衛隊の募集難をきっかけに広報への活用が期待され、2018年ホワイトアローズが産声をあげました。ホワイトアローズは、「4機の白い機体が大空を縦横無尽に飛ぶ」イメージから命名されたそうです。

本番前日、展示飛行の演習が行われます。 

無線での交信:
「結構流されますね。これは楽しいですよ、きょうは。ハーネスロックで行きましょう!」

神代編隊長:
「(見て欲しいところは)最初から最後まですべてなんですけども、しいて言うと、一番最初に実施しますファン・ブレイク。4機がダイヤモンドの隊形で急旋回していく。それとホワイトアローズの名前にもなっている、アローヘッドクロスという課目がありますので、その2課目はぜひ見て頂きたいと思います」