およそ25,000本のヤブツバキが自生する、山口県萩市笠山の椿群生林。病気にかかり、衰えた木を回復させようと再生に向けた取り組みが行われています。樹木を伐採する取り組みを始めて3年目、関係者も驚くほどの回復をみせています。

萩市笠山の椿群生林に咲く、鮮やかな赤い花。2月、再生試験を行っているヤブツバキが初めて開花しました。市では2021年3月から、ツバキを守る目的で、木を伐採する試験を行っています。

萩市 花と緑の推進室 樹木医・草野隆司さん
「びっくりしてますね、早くても3年から5年かかるかなっていうぐらい覚悟をもっていたんですけど、2年目で咲いてくれるのはうれしい」
江戸時代は伐採禁止→明治以降は薪に利用

笠山は江戸時代、萩城の北東、鬼門の方角にあたり、樹木の伐採が禁止されていました。しかし明治以降に規制が解除され、昭和40年代まで住民が薪を求めて樹木の伐採を繰り返したため、生命力の強いツバキが群生するようになりました。今では10ヘクタールにおよそ2万5000本のヤブツバキが自生し、世界でも例のない高密度な群生林となっています。
50年間手つかず、密集で木に衰え
市が群生林を整備したのは1970年。その後、人の手が入らないまま50年以上が経過し、密集して成長したツバキは、これまでにないような病気にかかるなど、樹勢の衰える木が出てきました。
草野さん
「向こうを見ても、ものすごい生存競争しとるんですね。負けたものは枯れるしかないという。後ろの風景は50年たってこうなったんですが、今から50年は絶対もたないと」
幹を切断、開花まで3~5年を想定

市はツバキを守ろうと、2020年度から3年間、学識経験者らと検討委員会を設置し、木が密集してきたのが原因の1つではないかとみて伐採を進めてきました。2021年には164本を、2022年には247本を伐採しました。

そして今年1月。411本中、43本でつぼみを確認しました。枝の剪定と違い、幹を切断する強い剪定を行ったことで、開花までは3年から5年を想定していました。しかし再生試験を行った木からは赤い花が数多く咲いていて、当初の予想より早い2年目での開花となりました。
草野さん
「伐採の繰り返しを明治から戦後までしてきたので、その例にならって初めてチャレンジしたところ、いい結果が出てきたなと思ってます」













