富山県高岡市の神社の大絵馬を毎年描いている男性がいます。写真スポットとして参拝者に親しまれてきた大絵馬は、巳年で十二支をひと回り。ことしは特別な絵馬となりました。



初詣に訪れた人たちでにぎわう高岡市の射水神社。
拝殿の横に掲げられているのは、ことしの干支、巳の大絵馬です。



1年の幸せを願う人たちをユーモラスでカラフルなヘビが温かく出迎えています。

初詣に訪れた男性:
「毎年にこの絵見に来てます。ことしもきれいに描いてあるんで面白いなと思って見てます」


初詣に訪れた女性:
「おしゃれ、ヘビさんもおしゃれだわ」


初詣に訪れた女性:
「射水神社(の絵馬)こんなカラフルなのってびっくりするんです、都会の娘たちが。また写真撮って送ろうかなと思っています」



この大絵馬を描いているのは、射水市の末永征士(すえなが・まさし)さんです。先月、末永さんは大絵馬の仕上げに向けて丁寧に筆を走らせていました。



ココペリ・米田昌功代表:「オムライスみたいな富士山になったね」
末永征士さん:「プリンですね、日本一一番高い山、富士山」
米田昌功さん:「原画はちゃんと水色と白だったんですけど、ここに来て急に黄色と赤になってる」


末永さんは、高岡市にある「障害者アート支援工房ココペリ」に所属し、月1、2回開かれるワークショップで創作活動に取り組んでいます。

知的障害と自閉症傾向がある末永さん。

末永征士さん:
「これ、貨物鉄道ファーストガイド。(貨物列車は好きなんですか?)興味を持っているけど好きです」



母の由美子さんには、末永さんが7歳の頃に医師から言われた忘れられない言葉があります。



母・由美子さん:
「私は絵を描いたということがすごくうれしくて言っただけなのに、もっと上手な絵を描ける年齢なのに、これぐらいの絵しか描けないのはやっぱりちょっとレベル的に下なんですよって言われたことがあったんで」



高岡支援学校の美術部に入り本格的に絵を描き始め、末永さん独特の作品が次々と生まれるようになりました。

母・由美子さん:
「絵ひとつ取っても何でこんな形になるのっていう絵がたくさんあるように、やっぱりこの子たちの住む世界っていうものはこういうものなんだって、わかっていただけたらいいのかなと思います」



ダイナミックな構図に、カラフルで大胆な配色。たくさんの線を「模様」のように描き込んで仕上げるのが末永さん流です。



県内最大規模の公募展では、毎年のように入賞。作品は、射水市にあるスターバックスコーヒーにも飾られています。



ココペリ・米田昌功代表:
「これ(大絵馬)があったんで、スターバックスの作品も描けたし、スターバックスを描いたおかげでその後の絵馬も変わったんですよね、絵が。経験積むたびに上手になっているってすごく感じます」



描き始めたのは、2014年の午年から。

「十二支全部描けたらいいね」と始まった大絵馬は、末永さんにとって今や毎年秋から冬にかけてのライフワークとなっています。



末永征士さん:「第12回目は最終節となります」

ヘビの大絵馬も末永さん独特の模様で埋め尽くされました。

末永征士さん:「つけました」
米田昌功代表:「終了ですか」
末永征士さん:「役目を終えることです。12年間がんばった十二支干支ですね」
米田昌功代表「お疲れさまでした」

末永征士さん:「ありがとうございました」



ヘビの大絵馬で目標としていた十二支すべてを描き上げました。



ココペリ・米田昌功代表:
「午年の時に親子で写真撮った人がもう小学生になって。自分の絵の前でいろんな不特定多数の人が毎年記念撮影しているんですよ。そんなのアーティスト冥利に尽きるじゃないですか。いろんな人に喜んでもらえるっていうことをしたっていうことは彼の人生にとってすごい大きな12年間だったと思いますよ」



迎えた2025年。射水神社には正月3が日でおよそ17万人が訪れました。



末永さんも家族と一緒に初詣に。

記者:「末永さん毎年射水神社?」
末永征士さん:「はい、そうです」
記者:「絵馬も楽しみですか」
末永征士さん:「楽しみにしています」

末永さんが手を合わせて願ったのはー。

末永征士さん:「ことし1年間、美術絵画作品を描くためがんばりたいと思います」


大絵馬の前で写真を撮るのがこの12年、末永さん一家の恒例行事です。



父・伸一さん:「よくがんばったなぁと思います」
母・由美子さん:「自分の何ていうの、こだわりというか何というかわからないけど、貫いてますよね、なんか」
妹・新谷茜子さん「今までで一番感動しました。絶対見る人みんなが元気になるやろうなっていうか」



記者:「ことしのヘビはどうでした?」
末永征士さん:あのヘビ、巳は、富士山はプリン、鏡餅、だるま、鯛、模様、形、花、松です、竹の、ヘビの中には」
記者:「すごくよかったですね、今年の絵馬は」
末永征士さん:「はい」



大絵馬と一緒に一皮も二皮もむけた末永さん。これからどんな作品でみんなをほっこりさせてくれるのか、楽しみです。

末永さんが手掛けた大絵馬は射水神社で2025年末まで展示されています。