処理水の海洋放出を受けて、魚を売る人たちも影響を懸念しています。こうした中であっても、魚のおいしさを多くの人に知ってもらおうと、直売店をオープンさせた水産会社の社長に、いまの思いを聞きました。
福島県いわき市小名浜の観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」に6月20日、オープンした「小名浜あおいち」。1960年創業の水産加工会社「上野台豊商店」の上野台優(ゆたか)さんが開きました。

店内には「常磐もの」の商品が並びます。魚の持つおいしさを多くの人に届けたいという上野台さんの思いが込められています。急転直下ともいえる24日の処理水放出。とまどいを隠せません。
小名浜あおいち店主・上野台優さん「やっぱり流してしまうんだなというのが正直なところ。8月中なのかなと何となく思っていたが、思ったより展開が早かったのでびっくりしている。できれば違う方法があるのだったら違う方法で解決してもらいたかったというのが正直なところ」
上野台さんは、こういう時だからこそ、福島の魚を食べる機会や場所を増やしていかなくてはならないという覚悟です。
上野台さん「今度は処理水に対しての説明をしながらお客さんに販売していくことになるのだろうと思うが、その対応はしっかりしていきたいと思っています」
放出による不安を上野台さんは、魚のおいしさを直接届けることで、乗り越えたいと話します。
上野台さん「みなさんにぜひ福島の魚を食べてもらっておいしいと喜んでいただきたいなと思うので、不安を上回るようなおいしさだったり魅力を私たちが発信しなくてはならないと思っているので、しっかりやっていきたいと思っている」
24日も変わらず、店に立って魚を販売した上野台さん。あすからも、これまでと同じように、福島の魚の魅力を届けていく覚悟です。
震災後は「常磐もの」のブランド化にも取り組んできた上野台さんは、この秋に、新しく食堂もオープンさせるということです。こうした現場の努力や覚悟に、放出を決めた側がどう応えていくのか、この先も問われ続けています。
