福島県浪江町の伝統工芸「大堀相馬焼」。20数軒の窯元があった地域は、12年前の原発事故で帰還困難区域になり、すべて避難を余儀なくされました。町の帰還困難区域の一部避難指示解除に合わせて、産地としての復活を目指し、ふるさとに戻ることを決意した陶芸家に密着しました。
大堀相馬焼の窯元「陶吉郎窯」の近藤学さん(69)。原発事故でふるさとを離れましたが、その後、制作活動を再開。5年前からは、いわき市四倉町に移り、制作を続けています。

近藤学さん(2017年)「四倉に新しい居を構えてそこが終の住みかということになると思いますけどね」
近藤さんの窯は、江戸時代、大堀相馬焼の繁栄の礎を築いた由緒ある窯で、その歴史を受け継いでいます。
「もう戻れることはないかもしれない」そんな思いがよぎりながら作品を作り続けるなか、帰還困難区域にある自分の窯を含む大堀相馬焼の産地の一部で避難指示が解除されるという知らせが届きました。

近藤さん「やっぱり大堀相馬焼だから大堀でやらないと本来の姿ではないということですよね。そんな中で思った以上の早い解除という話が出たので、よしじゃあ俺はもう帰ってやるしかないなと」