郡山インター線沿いに店を構える「道具屋 利作ワークス」。
製造業や建設業の職人たちが扱う専門的な工具を販売するこの店は、その道のプロたちから厚い信頼を寄せられている、知る人ぞ知る老舗企業だ。店内には、あらゆる道具が所狭しと並び、訪れる者を圧倒する。この店を率いるのは、三代目の大藤隆士さん。その歴史は84年前に遡る。
リヤカー一台から始まった歴史
「昭和17年に、私の祖父の大藤利作さんがリヤカーいっぱいに商品を積んで、業商したんですね」と大藤さんは語る。
創業者である大藤利作さんは、もともと農業で使う道具の鍛冶職人だった。行商から始め、その後十坪ほどの小さな金物店「安達屋金物店」を開業。それが原点となった。町に根付いた安達屋金物店は、二代目の時代になると工務店などに直接販売する営業スタイルへとシフトし、長年にわたり事業を続けてきた。
三代目の挑戦が生んだ新たな店舗
そして三代目が事業を継ぐと、大きな転機が訪れる。既存の「安達屋金物店」はそのままに、新たに小売店である「利作ワークス」をオープンさせたのだ。
「私も手持ち無沙汰だったんですよね、当時。うわ、これ何かやんなくちゃいけないなと思って、始めたのがネット通販です」と大藤さん。このネット通販が意外にも成功を収めた。すると、倉庫に商品を取りに来た客から「この倉庫のほうにも商品並べてくれると助かるんだけどね」という声が上がるようになる。その声に後押しされ、「よし、じゃあ始めよう」と、2015年に実店舗「利作ワークス」が誕生した。
プロに選ばれる理由
今や多くのプロがこぞって訪れる店となった利作ワークス。その成功には明確な理由がある。一つは、客一人ひとりに寄り添った接客スタイルだ。スタッフ全員が常に勉強を重ね、膨大な知識量でお客さんの状況を詳しく聞き取り、本当に必要なものを提案する。
「自分たちが売りたい商品じゃなくて、お客さんが必要な商品、それはお客さんが目的に合う商品を勧めるのがうちらの仕事だと思ってるし、うちらの使命だと思ってます」と大藤さんは言う。お客さんが欲しいと言う商品よりも、仕事内容に合わせた最適な道具をセレクトすることこそが、自分たちの仕事だと考えている。この姿勢は、長年の外回り営業で培われた会社の伝統だ。
「いかに今の時代って、やっぱり店に足を運んでもらうか。ためには、やっぱりワクワク感が大事なんですよね」と語る大藤さん。業界全体を盛り上げるため、自ら手工具メーカーに働きかけてオリジナル商品を作ることもある。若者に響くターコイズブルーのVSストリッパーなど、客のモチベーションを上げるための商品をメーカーと共に提案し続けている。
取引先のメーカー担当者も「売り場の鮮度が高い。そこが圧倒的に東北ではトップ」と、その品揃えを認める。
業界も注目する「発信力」
利作ワークスが注目されるもう一つの理由は、その「発信力」にある。SNSなどを活用し、新商品の特徴を案内するYouTubeチャンネルの登録者数は1万人を超える。メーカー側も、新製品を納める際にその発信力に大きな期待を寄せているという。
挑戦の先に描く未来
「祖父、それから父がやってきた信用っていうのは、ほんとにありがたいうちの財産なんですよ。でも、そこに甘んじちゃいけないと思ってるんですね」と大藤さんは力を込める。
「挑戦をしなければ絶対成長できないです。それをやっていかない、超えていかなければ、次が見えないですよね」。その言葉通り、挑戦はとどまることを知らない。市内には道具を修理して販売する中古ショップ「利作ユーズド」を、さらにその奥には、創業者の目利き力と伝統を守るために熟練の職人も唸る大工工具のみを扱う「利作刃物工房」もオープンさせた。

利作ワークスには、「良い道具は良い仕事を生み、良い仕事はみんなを笑顔にする」という理念がある。職人に合った道具を提案することで、彼らは良い仕事ができる。美しい仕上がりは施主を喜ばせ、関わる人々みんながハッピーになる。そのための手助けをすることが、自分たちの仕事だと大藤さんは考えている。
良いものを作る作り手に、最高の道具を提供する。世の中に物がある限り、利作ワークスの挑戦は続いていく。
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2026年9月17日放送回より)










