災害のとき、障害のある子どもの命をどう守るのか。この課題に向き合い続けてきた福島県いわき市の家族たちが、今年も成果を報告する講演会を開きました。「最も恐れているのは、物理的な困難ではない」と話し、地域とつながることの大切さや、いまも残る課題について議論を深め、理解を求めました。
障害児とその家族で作るいわき市の団体「スマイルリボン」によるこの講演会は、今年で4回目となりました。
スマイルリボン・笠間真紀代表「本日のテーマは『地域と繋がる』です。医療的ケア児とその家族にとって、日々の生活は綱渡りのような面があります。人工呼吸器の電源、たんの吸引、多量の医療物資、これらが一つでも欠ければ、あの子たちの命は途切れてしまいます。災害時、私達家族が最も恐れているのは物理的な困難だけでなく、社会から取り残されること、孤立することです」
こう呼びかけて始まった、今年の講演会。笠間さんは毎年、重い障害を持つ息子の理恩さんとともに、市の職員やケアに関わる関係者を集めた避難訓練を行い、災害のときに何が課題になるのか、検証を重ねてきました。
こうした先進的な取り組みは全国でも例がなく、各地から講演や執筆の依頼も相次いでいると言います。
一緒に活動を続けている医師は、基調講演で「トップランナーにはトップランナーの役割がある」としたうえで、こう話しました。
いわき市医療センター本田義信医師「私たちの活動は全ての障害児・者、医療的ケア児とその家族が、いわき市で心豊かに生きる体制をいわき市で構築できれば、きっと、多くのいわき市民も心豊かに生きることができるんじゃないかと。それが僕らの最終目標です」
活動を始めてから4年。講演会には、リピーターも増えました。今年は、いわき市医療センターの杉正文院長やいわき市医師会の齊藤道也会長も参加するなど、その輪は確実に広がっています。
一方で、後半に行われたパネルディスカッションでは、普段の生活の中に、切実な課題が残っていることも、浮き彫りとなりました。
笠間さん「まず断られてしまう。予防接種とか皮膚の湿疹だとか、ちょっとした風邪とか。やっぱり(受け入れを)断られてしまうので、心が折れて、次に探そうっていう気持ちにならない」
子どもたちは、様々な施設や場面で、障害を理由に利用を断られることが多く、家族は困難に直面しても、声をあげづらい状況にあると言います。
笠間さん「日頃から断られることに慣れている。断られるのが当たり前。あなたのお子さんは障害が重いから、この幼稚園には入れませんよ。この保育園には入れませんよ。地域の小学校には行けませんよ。この病院には行けませんよ…」
これに対し、医師会の会長は、国民皆保険制度の中では、自由に医療機関を選べる原則があると説明した上で、次のように話しました。
齊藤会長「医療機関ってそこのトップの考え方が出てしまうことがある。我々医師自体が、こういうものに対するものの考え方をしっかり考える必要がある。頭固いんですよ。医師も。ですから我々も本当に申し訳ないと思っていますんで、みんなに勉強するようにしっかり伝えたいと思います」
家族の率直な思いが、伝わった瞬間でした。広がる理解と支援の輪。その一方で残る課題。課題を解決するためには、それを知った私たちが、行動する必要があります。










