福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。

今回は、100年以上続くガラス店が始めた古いガラスを使った新たなもの作りです。懐かしさを感じるアート作品は今では県外からもオーダーが来るほどだそうです。

郡山市にある伏見屋ガラス店の4代目・三保谷泰輔さんです。先代までとは違った、自分のスタイルでガラスと向き合っています。

--三保谷さん「廃棄されるものを生かして物を作るというのは新しい取り組みだなぁって。」

郡山市本町にある伏見屋ガラス店。大正3年創業、100年以上続くガラス店を受け継いだのは25年ほど前。当初はそれまでの家業をそのまま受け継ぎ、守ってきました。

--三保谷さん「おじいさんの代から徐々にアルミサッシが普及し出したので、建築業のガラス店というのがメインになっていました。」

新たに建築するビルや一般の家、そのアルミサッシの窓で使用される板ガラスを主に扱っていました。そんな中、三保谷さんが感じていたことが…。

--三保谷さん「建築業界のスクラップアンドビルド、壊して新しくして経済が成り立つというのが、自分はどうしてももったいない気がしていて、解体する住宅から昭和ガラスを集めてきて、家具としてステンドグラスを入れたり、リメイクした作品を作って、それが少しずつ形になってきました。」

今では三保谷さんが集めてきた「昭和ガラス」を使った数多くのリメイク作品が店内に並びます。家具やランプなどバリエーションも様々。

--三保谷さん「もともとは洋服ダンスで、今ガラスが入っている部分は木目調のベニヤ板が入っていた部分を、板を取っ払ってステンドグラスを入れて中に照影をつけて、ショーケースとして生まれ変わらせたものです。」

1950年代から70年代にかけて製造された「昭和ガラス」。ガラスに柄や模様が入っているのが特徴です。

--三保谷さん「(昭和ガラスは)昭和の頃の柄のデザインは今のデザインにはない昭和の時代だから生まれたデザイン性がある気がします。全部で60種類以上あるんですけど、一般的に良くみかけるのはこの”みどり”や”銀河”は入手しやすくよく見かけられると思います。需要も多くて映えるので結構みなさんに人気。未だに見かけたことも入手したこともないガラスもあります。」

昭和ガラスのレトロな風合いを生かした、その場所に合った作品作りを意識しています。

--三保谷さん「店舗の場合は、パネルとして入り口のドアとか内装に装飾として使っていただくケースが多い。住宅でいうと、ステンドグラスのパネルや置き型のランプやペンダントライト、小物としてコースターとかキャンドルホルダーとして。」

三保谷さんの作品作りは、口コミで広まり家の建て替えをする県外の方からのオーダーもあるそうなんです。

--三保谷さん「1番遠いところだと京都。新しく改装した家で飾っておけるものということだったので置き型のランプを。」

解体され廃棄されてしまうものに、新たな命を吹き込むような作品作り。

--三保谷さん「それぞれの家の暮らしと共にあったことで、思い出とか家族の記憶がそこに込められていて、ガラスの面白いところは木や鉄は経年変化で腐食するんですけど、ガラスはあまり腐食しないので、ずっと放置されてた家から汚い状態で外してきてもキレイに洗えば新品同様の輝きを取り戻してくれることで、時間がとまったというかタイムスリップできたような気持ちになれる素材だなって。」

その家の思い出が刻まれた昭和ガラスへの思いを大切に。今では奥さんの未柚さんと一緒に作品作りをしています。

--未柚さん「前に使っていたお家は無くなってしまっていることが多いんですけど解体されて。それでも一部が残っていることでその家族の思い出や人の暮らしが、この作品の中で残り続ければいいなと。」

昭和ガラスが形を変え、お店や住宅、そして次の世代へと繋がっていく作品作りへ。

--三保谷さん「古さを生かすことによって、伏見屋ガラス店が独自の色や取り組みを出せたことで、ご先祖様が喜んでいるのを感じたり、回収をさせていただく家々の方々のご先祖様たちの思いや暮らしも少しでも生かせたらと思っています。」

--三保谷さん「古さを生かすことによって、伏見屋ガラス店が独自の色や取り組みを出せたことで、ご先祖様が喜んでいるのを感じたり、回収をさせていただく家々の方々のご先祖様たちの思いや暮らしも少しでも生かせたらと思っています。」