福島市の男性「日用品を買っていた。この辺だとここのおもちゃ売り場くらいだった。かなり不便です。(別のスーパーまで)歩くと20分くらいかかってしまう」
国見町の女性「どこにって行くところがない。通販とか近所で間に合わせる」
福島駅西口にあったイトーヨーカドー福島店が閉店してからまもなく1年。今月1日から建物の解体が始まりましたが、跡地をどうするのかは、決まっていません。
市街地の空洞化が深刻になる中、その影響を試算した結果が、発表されました。
地域経済などに詳しい桜の聖母短期大学の和田賢一教授。ヨーカドーの閉店が、福島市に与えた経済的な影響について、調べてきました。

和田教授「福島市外で買い物をしている人は56.7%。金額で見ると17億3200万から19億300万円」
去年7月から8月にかけ、和田教授たちは、福島市や周辺の住民を対象にアンケート調査を実施。その結果、ヨーカドー福島店の閉店で、福島市に与えた経済的なマイナスの影響は、92億円以上に上ると試算しました。さらに市内の総生産も0.43%から0.45%ほど押し下げたということです。
閉店によって消費が市外に流出したうえ、卸売業などの関連企業に影響を及ぼしたことから、大幅なマイナスとなったということです。
和田教授は、早急に手を打つ必要があるとしながらも、跡地の活用方法の難しさも指摘します。
和田教授「あそこに建てたところで、採算が取れるのかと考えたときに利潤を生み出す見込みがなければ、次に動けない」
桜の聖母短期大学では、今回の結果を市に提出することにしています。
関連企業に影響が連鎖
さて、改めて大きな影響があったということがわかりましたが、その中身を詳しく見ていきたいと思います。
今回の試算は、モノを必要とする「需要」が発生した場合に、これを作るために、様々な生産活動が生まれます。
今回、ヨーカドーの閉店したことで、その生産活動にどのくらい影響があったのかを調べました。

もう少し具体的に見ていきます。靴を例にしてみましょう。靴を販売する場合、それをつくる企業があります。今回の閉店で、靴をつくる企業は、直接影響を受けることになります。
さらに、この影響は、靴の原料や材料を扱う企業にも影響が出てきます。こうして、1つの店の閉店をきっかけに、経済的な影響が連鎖的に発生するわけです。

今後について、和田教授は食料品や日用品は近場で買う傾向がある一方で、アクセサリーやバッグ、靴などは遠くまで買いに行く傾向にあり、市外に流出する可能性が高いと分析しています。
こうしたことから、デパートなどの百貨店よりも、日用品を扱うスーパーや大型雑貨店の方が有効ではないかとしています。