福島県郡山市に本店を置く金融機関、福島県商工信用組合は2008年から14年にわたって、定期積金の着服など9件におよぶ不祥事があり、旧経営陣がこのうち8件を隠蔽し、経営管理態勢に重大な問題があったとして、財務省から業務改善命令を受けたことが明らかになりました。
【福島県商工信用組合 須佐真子理事長】「誠に申し訳ございませんでした」
郡山市に本店を置く福島県商工信用組合は7日会見を開き、2008年から2022年までの14年の間に職員が、定期預金の解約金を着服するなどの不祥事があわせて9件あったと発表しました。着服された金額は総額で3000万円を超えますが、すでに全額弁済されているということです。

一方、このうち8件については、現理事長の父親にあたる当時の須佐喜夫理事長および内部監査部門のトップなど旧経営陣が不正の隠ぺいを行い、経営管理が機能不全に陥っていたとし、さらに前理事長の指示で監視カメラ映像の消去なども行っていたということです。
あわせて旧経営陣が不祥事を把握しながら法令で定められている監督官庁の財務省への報告を怠っていたということです。
【不祥事の内容】
①白河支店 当時20代元職員 2008年11月~2009年5月
定期積金掛込金の着服、定期積金掛込金の立替入金 事故金額248,000円
②朝日支店 当時10代元職員 2012年12月~2013年3月
定期積金掛込金の着服 事故金額662,000円
③日和田支店 当時10代元職員 2012年11月~2013年5月
定期積金解約金の着服 事故金額2,636,000円
④須賀川支店 当時20代元職員 2010年8月~2014年9月
定期預金解約金の着服、融資返済入金の立替入金、浮貸し、保証料の立替入金、
不正口座の開設、不正口座への融資実行、不正口座からの出金、不正資金の正規
講座への入金、不正口座への入金 事故金額17,015,467円
⑤本宮支店、桜通支店 当時30代職員 2013年5月~2015年2月
融資実行金の着服、定期積金解約金の着服、定期積金掛込金の着服
事故金額5,445,190円
⑥本宮営業部 当時20代元職員 2015年2月~2015年9月
定期積金延滞先への自己資金による立替入金 事故金額352,000円
⑦本宮支店 当時20代元職員 2016年6月~2017年4月
顧客カードローンの不正利用による着服 事故金額477,650円
⑧本店営業部 当時40代職員 2016年6月~2019年4月
定期積込掛込金の着服、融資実行金の着服、融資手数料の着服、融資返済金の立
替入金、延滞損害金の立替入金、年金担保融資に関する浮貸し、定期積金着服金
の穴埋め金 事故金額3,210,000円
⑨富久山支店、日和田支店 当時20代元職員 2022年3月~4月
定期積金掛込金の着服、普通預金入金部分の着服 事故金額544,000円

このため財務省東北財務局は7日付で福島県商工信用組合に対し、経営管理態勢に重大な問題があったなどとして業務改善命令を出す行政処分を行いました。そして業務改善計画書を4月7日までに提出するよう求めています。
福島県商工信用組合は旧経営陣に対し、役員退職慰労金の一部返納を請求することにしています。また前理事長の須佐喜夫会長は2月1日付で会長職を辞任したということです。また現経営陣については須佐真子理事長が報酬全額6か月、専務理事は報酬40%を3か月、常務理事及び常勤理事、常勤監事は報酬30%を3か月それぞれ返納することを決めました。また不祥事防止に向けて組織改革を行うとしています。