過去最多の入館でも苦しい経営状況も
さて、今回導入が決まった指定管理者制度ですが、これは、公的な施設を民間事業者に管理してもらう制度のことで、民間のノウハウを活用して、多様なニーズに応えることなどが期待されています。
今回、浪江町が導入した背景の1つに、苦しい経営状況があります。

これは今年3月に取材した際のデータですが、昨年度、請戸小学校の入館料収入はおよそ1300万円だったのに対し、人件費や光熱費などの支出は1700万円。1年で400万円ほどの「赤字」の状況でした。
また、津波の被害状況をありのままに伝える震災遺構特有の事情もありました。それは施設の劣化です。請戸小学校は基本的に、吹きさらしの施設で、劣化が激しくなってきました。

施設の担当者は「風化する状況も含めて、公開している」としながらも、「来館者に危険が及ぶ状態は避けたい」とも話していて、最低限の修繕はやはり必要だとしていました。
震災から13年半。記憶の風化も避けられない中で、いわばこの「2つの風化」にどう対応し、どう残していくのか、模索が続いています。










