1日、浪江町の帰還困難区域の一部で立ち入り規制が緩和され、避難指示の解除に向けた準備宿泊が始まりました。自宅に戻った住民は「ふるさとの空気は違う」と喜びを噛みしめていました。

原発事故後、浪江町では2017年に町の一部で、避難指示が解除されましたが、いまも、町のおよそ8割が帰還困難区域となっています。

このうち、除染やインフラ整備が集中して進められている復興拠点では、1日午前9時に立ち入り規制が緩和され、準備宿泊が始まりました。

浪江町・吉田栄光町長「この特定復興再生拠点の町民の方々は、一日も早い復興を願っていたわけですから、新たなスタートをするその日であったかなと思います」

この日、自宅に戻った住民は…

浪江町・吉田公明さん「嬉しいというのはありますよね。長年育ったところでありますし、ここに来ると空気も何かちょっと違うような感じ」

1日、準備宿泊を開始した吉田公明さん。ふるさとの浪江町で生活しながら、町の農業復興の力になりたいと、避難先のいわき市から浪江町の自宅に戻りました。吉田さんは、これまでも、町に通いながら野菜の試験栽培や地域の農地保全などを行ってきました。

準備宿泊の対象は、津島拠点など3つの拠点合わせて305世帯833人となっていますが、1日現在、準備宿泊を申し込んだのはわずか2世帯4人です。この厳しい現実に吉田さんは。

吉田さん「戻りたくても戻りづらい、戻れないって方もいると思うんですよ。中には、お墓、ちょっと行ったところにあるんですが、墓じまいした人も何件か聞いていますし、ちょっと寂しいなって感じはありますね」

そして吉田さんも、将来的な町への帰還はまだ考えられていないといい、当面の間は、避難先のいわき市と浪江町を行き来する生活をしていくということです。浪江町では、来年春に復興拠点の避難指示解除を目指しています。