新型コロナウイルスの感染拡大を受け、福島県の内堀知事は、医療体制が危機的な状況だとして、初めての「医療非常事態宣言」を出すとともに、「BA.5対策強化宣言」を発出することを明らかにしました。期間は8月12日から8月31日まで。県独自の「感染拡大警報」を強化するとしています。
具体的な対策としては、
①基本的な感染対策の再点検と徹底
②陽性になった場合の備え
③速やかなワクチン接種
④検査のさらなる活用
⑤効果的な換気
⑥移動時の注意喚起
⑦子どもと高齢者の感染対策
⑧事業所での感染対策
⑨医療を守る対策の強化
以上の9つの項目を挙げています。例えば、⑦子どもと高齢者の感染対策では、「混雑する場所への外出や会食、イベント等への参加など、感染リスクの高い行動を控えてください。特に、高齢の方や基礎疾患のある方、周囲の方は意識して行動してください」としていますが、「外出の自粛」というような要請はありません。
内堀知事は、12日午後に開かれた県の対策本部会議で、「感染の急激な拡大が止まりません。こうした中で医療の現場が限界に近づきつつあります。県内の医療体制が危機的な状況にあることから、福島県医療非常事態宣言を発出します」と述べました。
県内の8月11日の感染者数は、11日ぶりに前の週の同じ曜日を下回りましたが、依然として高い水準が続いていて、入院は過去最多となる467人で重症は4人。病床の使用率は62.3パーセントに悪化し、2021年8月17日以来、およそ1年ぶりに60パーセントを超えました。自宅療養も1万7762人で過去最多です。宿泊療養も含めた療養者数は1万8659人となり、過去最多を更新していました。
「BA.5対策強化宣言」と「まん延防止等重点措置」の違いは?
まん延防止等重点措置と比較しますと、発出するのは重点措置は「政府」でしたが、強化宣言は「都道府県」です。宣言に罰則はありません。
内容は、高齢者や同居する家族などに外出自粛、飲食店での長時間利用の回避や十分な換気などを要請できます。7月に山際担当大臣は「都道府県の取り組みを支援する。行動制限をするものではない」としていました。あくまで「お願い」ベースです。
政府は、宣言を出した都道府県に対し、政府職員の派遣や対策の助言などを行うとしていますが、内堀知事は8月1日に「これまでのデルタ株を前提としたものではなく、医療や保健所の体制強化などBA.5に即した実効性のある対策や財政措置が必要」と宣言の内容は不十分だと指摘していました。