静岡県熱海市で発生した土石流災害から6月3日で11か月。現場では被災者が黙とうを捧げ、県警による一斉捜索も実施され、行方不明者の持ち物が見つかりました。また、発災から1年となる来月に向けて被災した薬剤師が地元を元気づけたいと動き出しました。

消防に最初の通報があった午前10時半ごろ、熱海市伊豆山の土石流現場の近くでは被災者が黙とうを捧げたあと、線香をたむけ犠牲者を悼みました。

<家が全壊した太田滋さん>
「月に1度じゃなくほぼ毎日来て見ているが、なんでこんなことになったのかといつも思う」

土石流災害では、災害関連死を含め27人が亡くなり、いまだ1人の行方がわかっていません。警察は、行方不明になっている太田和子さんを探すため、およそ100人態勢で伊豆山港などの捜索活動を実施。潜水やファイバースコープによる捜索活動は、伊豆山港の沖合まで範囲を広げました。

そして、3日午前、逢初橋周辺に流れ出た土砂を重機でふるいにかける作業のなかで、太田さんの病院の診察券が2枚見つかりました。捜索活動のなかで太田さんの所持品が見つかるのは初めてで、警察は「行方不明者が見つかるまで捜索活動を続けていきます」とコメントしています。

一方、発生から1年となる7月に向けて地元を元気づけたいと動き出した人もいます。

千葉久義さん。千葉さんも被災者の一人です。土石流災害から3か月後、2021年10月の千葉さんの自宅です。

<千葉さん>
「天井がないですね。ボコって剥がれ落ちてしまって」

自宅の水道管が破裂。水浸しになり、全面改修が必要になりました。千葉さんは、この場所から新たな出発を目指しています。

<千葉さん>
「分包機といって、飲みにくい薬を一つの袋にまとめる機械ですね。処方箋を受け付ける薬局としてもやりますし、市販薬とか介護の用品も置いたりとか」

開業の準備を進めているのは薬局。千葉さんは薬剤師の資格を持っていて、以前、祖母が薬局を営んでいたこの場所に再び、店舗を開こうと考えています。

開業の目標は発生から1年となる7月3日。オープンすれば伊豆山・唯一の薬局です。

<千葉さん>
「逢初橋が寸断されて医薬品が入ってこないとか、薬の配達も困っているという話を聞いて地域に薬局は必要だなと感じたんで」

義援金や保険などで修繕費の一部を賄いましたが、自己負担で250万円ほどかかったといいます。

<千葉さん>
「いろいろ考えることはあるんですけど前に進むことは必要ですし、目に見えないところで困っている人はいっぱいいる」

LIVEしずおか 6月3日放送