静岡県沼津市で起きたひき逃げ事件の現場から走り去った運転手を自転車で追跡し、容疑者の確保に貢献した男子高校生に警察から感謝状が贈られました。「自分がやらなきゃ逃げられる」。とっさの判断が事件解決につながりました。
<吉田光広沼津警察署長>
「重大事故の早期解明検挙に多大な貢献をされました。ここに感謝の意を表します」
吉田光広沼津警察署長から感謝状を贈られたのは、沼津市に住む静岡県立三島長陵高校の1年植松楽士さん(15)です。
植松さんが事故に遭遇したのは、6月3日夜のことでした。
<三島長陵高校 植松楽士さん>
「後ろから来た車の進行方向が逆走だと気づいて、これはやばいと。『事故になるな』と思い後を追ったが、案の定(逆走車は)ぶつけながら、突っ込んでいったのでこれはまずいと思った」
植松さんは沼津市岡宮で逆走した車がすれ違いざまに車4台に次々と衝突するという事故に出くわします。すると、事故を起こした車の運転手が突如、車を降りて走って逃げ出したのです。そこで自宅に帰ると途中だった植松さんは自転車で追跡を始めました。
<三島長陵高校 植松楽士さん>
「犯人が逃げたが、自分しか動ける人がいなかったので『自分がやらなきゃ逃げられる』と思って(追いかけた)。恐怖心とか、まったくなく『ヤバい、ヤバい』と思いながら追いかけていました」
植松さんは途中警察に通報。さらに約2kmにわたって、追跡したといいます。警察によりますと、植松さんはヘルメットを被り、信号を守りながら、逃げる運転手を追ったということです。
捜査関係者によりますと、警察官に身柄を確保された運転手は当初、容疑を否認していましたが、植松さんが「この人です」と証言。これが容疑者逮捕につながったといいます。
植松さんの母・真由美さんは性格的に追いかけたのだろうと話します。
<植松さんの母・真由美さん>
「(息子は)コレと決めたらずっとまっすぐだから。逃げられたらまずいってなったら、追いかけるしかないと思ったのだと思います」
<三島長陵高校 植松楽士さん>
「正直、あんまり実感がない。その場の感情で動いたのですごいことをした実感がありません。びっくりしてます」