使用済みのペットボトルなどから出る素材「廃PET」を加工し、アスファルトに混ぜることで舗装の強度を上げるという実験がいま、磐田市内で行われています。道路の耐久性が5倍にもなるということです。


東京オリンピック卓球で金メダルに輝いた水谷隼さんと伊藤美誠選手の母校、磐田北小学校です。子どもたちが遊ぶ中庭のアスファルトには、「廃PET」を加工した素材が混ぜられています。こんな遊び方をしても平気なんです。

<磐田北小学校 伊川知輝教諭>
「子どもたちも遊びながら環境について興味を持つきっかけになっている。授業でも生かせるアスファルトになっている」

このアスファルトに混ぜた廃PETの原料は?

2021年末に行われたみまじゅんペアの凱旋報告会。多くの人が2人の快挙を祝いました。この会場で参加者に配られたペットボトル、これを使いました。

磐田市で実験が進んでいるのが、大手化学メーカー花王が開発した改質剤です

<花王ケミカル 事業部門 黒䑓弘次機能材料事業部長>
「(改質剤は)特殊ポリエステルというケミカルがベースになっていて、それが高耐久化を出すキモになっている。PETもポリエステルの一種で、非常に相性がいい」

「PET・ポリエチレンテレフタレート」は、主にペットボトルや食品の容器などに使われています。使用済みで捨てるだけの「廃PET」を粉砕し、独自の化学処理を行うことで粉状の改質剤になるのです。

1%混ぜることでアスファルトの耐久性はなんと5倍に。舗装して3年が経った普通のアスファルトと改質剤が入ったものを比べると、ほとんど劣化していないことが分かります。

<花王ケミカル 事業部門 黒䑓弘次機能材料事業部長>
「吸着性が高まることによって、アスファルトがはがれにくくなる機能がある」

ジュビロ磐田のホーム、ヤマハスタジアムの前にある道路です。

<磐田市 産業政策課 芥川豊秋産業政策専門官>
「この道路が実証実験を進めている道路です」

近くにはオートバイの工場があり、部品などを運ぶ多くのトラックが行き来するため、路面の劣化が課題でした。

<磐田市 産業政策課 芥川豊秋産業政策専門官>
「耐久性のある舗装道路を増やしていくのと同時に、企業の産廃、廃PETを減らしていく方向に進めていけたら」

製造業が盛んな磐田で工業廃棄物として出る廃PETを活用していく予定です。

<花王ケミカル 事業部門 黒䑓弘次機能材料事業部長>
「何十年もの技術蓄積があってできあがったもの。廃PETの活用もその延長線上にある」

廃棄物を再利用するだけでなく、従来のアスファルトよりも安全で質の高い道路に生まれ変わります。