静岡県熱海土石流災害の原因究明を続ける熱海市議会の百条委員会は5月12日、最大のヤマ場を迎えました。盛り土造成を指示したのは誰だったのか。盛り土の危険性の認識は。土地の現前所有者の発言に注目が集まりました。

<滝澤悠希アナウンサー>
「現前の土地所有者が公の場で証言するのはきょうが初めて。盛り土が崩れる危険性を認識していたのかが委員によって問いただされます」

強い権限を持つ熱海市議会百条委員会は、2022年3月から参考人招致を重ねてきましたが、11日からは虚偽の証言をした場合に罰則が科せられることもある証人尋問を行っています。

2021年7月に熱海市で発生した土石流災害では、27人が死亡、1人が行方不明となっていて、起点にあった盛り土が崩れ、被害を甚大化させたとみられています。

<前の土地所有者>
「僕は冤罪だと思っているから。はっきり。重要なのは被害者のご冥福を祈るということ。真実を究明すること」

盛り土の造成工事をした神奈川県小田原市の不動産会社の元代表で、盛り土造成の申請をした前の土地所有者の男性です。

これまでに複数の関係者が「盛り土造成の指示はこの男性(=前の土地所有者)がおこなった」と指摘してきましたが、この男性は盛り土への関与を否定してきました。

SBSは撮影や録音が禁止されている証人尋問を見据え、事前にインタビューを実施。実際に想定した質問が投げかけられ、前所有者は再度関与を否定しました。

Q 盛り土にもっと土を入れるよう指示はしたか?
<前の土地所有者>
「指示をした覚えはないですよね。何を指示するんですか?指示(の内容)を教えてくださいよ」

12日の証人尋問でも、前所有者は事前インタビューと同じ主張を繰り返しました。これまでの参考人招致で、盛り土を実際に工事した施工業者は「この男性の指示だった」と話しています。

<前の土地所有者>
「500歩ぐらい譲って、いっぱいなのに『もっと入れろ』って言ったら、(施工業者が)『入りませんよ』っていえば終わりじゃん。何を言っちゃってんの?って。ネガティブイメージだよね」

あくまでも施工業者の責任で、施工業者が規定を超える量の土を入れたと主張しました。

一方で、施工業者は、この男性に対して「土の搬入に関する金銭を現金で支払っていた」と証言しています。これが事実であれば、この男性が土が盛られる経緯を知らなかったという事は辻褄が合わなくなります。

Q「土の搬入に関する金銭を現金でやり取りしていたのか」
<前の土地所有者>
「いくら払ってるの?領収書は?誰に渡したのよ?(現金のやりとりはないという結論でいいのか?)俺の記憶ではないよね」

土を搬入した事による現金授受はなく、施工業者に土地を貸していただけと、盛り土造成への関与を改めて否定しました。

また、2011年に盛り土を含む土地を購入した現在の土地所有者が証言に立ち、「盛り土の現場に行ったことはない」「木を植えただけ」と盛り土の存在も危険性も知らなかったとしています。

一方で、前の土地所有者は、売却後の責任は、現在の土地所有者にあるのではないかとしていて、危険な盛り土の責任は誰も認めていません。