「何度目ですか?」「は、はじめてです」

1日目、今回の旅の出発地は、静岡空港。参加者の目印となる赤いネックストラップを首にかけ、FDAのカウンターへ向かうと、「乗り放題ですね。何度目ですか?」と笑顔のグランドスタッフ。こちらは「は、はじめてです」とドギマギ。どうやら、この旅にはリピーターが存在するらしい。そこで手渡されたのは、1日分の搭乗券7枚。思わず、「こんなにチケットを発行してもらうなんて、団体旅行みたいですね」。

午前8時10分、最初の目的地・出雲空港に向けて出発。直前の週末には、大雪の影響で欠航になったことから、無事飛ぶのか、少々不安もあったが、天はどうやら味方をしてくれたようだ。さて、FDAといえば、飛行機ごとに色が違うのが特徴。その数、なんと15色。「きょうは何色だろうか?」なんて、考えるのも楽しみの一つだ。今回は、真っ赤。「ドリームレッド」というそうで、FDAが初就航した2009年から日本の空を飛び続けている1号機だ。
大手でも、LCCでもない

ブラジル・エンブラエル社製の飛行機は全76席とコンパクトだが、シートは革製でゆったり。LCCとも異なり、機内サービスも充実している。地方都市を結ぶとあって、各地域のローカル紙が搭載され、オリジナルの機内誌も。さらには、最近では珍しくなったお菓子の無料サービスも(一部路線では飲み物と飴のみ)あり、大手航空会社にも引けを取らない。
「朝食になります」。朝便のサービスとして手渡されたのは、クロワッサンとコーヒー。なんと優雅な空の旅なんだろうか。出発前に、サンドウィッチを食べていたが、ここは「いただきます」。クロワッサンをほおばっていると「乗り放題に参加されていらっしゃるんですね」と客室乗務員から声を掛けられる。やはり、ネックストラップが目印になるようだ。きょうは、こんなコースで福岡まで行く、と説明をすると、「でしたら、神戸までご一緒させていただきます」。ん?どういうことなのか。
出雲までの道中、窓をのぞくと見えるのは雲ばかり。しかし、着陸のため徐々に高度を下げていくと、一気に雪景色が広がる。普段、雪を見ることがない静岡県民にとっては、テンションが上がる。午前9時35分、定刻通り出雲空港に着陸。ここから、この旅の醍醐味の一つ、怒とうの乗り継ぎが始まる。