みなさんは「NFT」という言葉を知っていますか。作品のコピーを不可能にする新しいこの技術を使ったアート作品が戦禍のウクライナの支援にもつながっています。
3月、静岡市内で開かれた展覧会。並んでいるのは、静岡出身のアーティスト4人がパソコンなどで作ったデジタルアートです。これまで、デジタルアートは簡単にコピーが可能なため、その価値を評価するのは難しかったのですが…
<NFTアーティストNY_さん>
「僕が販売した時の価格は日本円で100万円。これが50万円。あれが400万円くらい」
400万円もの値がついたこの絵には、ある情報が埋め込まれています。それが『NFT=非代替性トークン』。「代替できない印」を意味しています。仮想通貨にも使われる認証技術を用いることによって、NFTがつけられたアート作品は、唯一無二の本物だと証明される仕組みです。
<NFTアーティストNY_さん>
「誰が作って、誰がいくらで買って、いくらで転売されて、という情報が全部記録として残って作品に紐づけられている。それがオンリーワンの証明になる。NFTは世界をひっくり返すような重要な発明だと思っています」
<展覧会を訪れた人>
「素晴らしい技術だと思う。昔の芸術作品は誰が作ったか分からないものも多分あると思うけど、NFTだとそういうことはなくなって未来永劫残っていくのかなと」
NFTの技術は、軍事侵攻を受けるウクライナの支援にも。3月、ウクライナ政府が戦禍を描いたNFTアートを販売するウェブサイトを立ち上げると、1日でおよそ6100万円もの支援金が集まりました。支援だけでなく、「侵略の歴史」を記録として残すことに大きな意味があります。
NFTアートの将来性を見越して、静岡市の会社が新たな事業を始めました。
<ファミールカンパニー 加藤稔樹さん>
「『OpenSea』というNFTの有名なマーケットでNFTアートを買って、その価値が上がるまでずっと握っていて、価値が上がったらまたマーケットで売る事業」
つまり、NFTアートは、投資の対象としても注目されているのです。中には、うなぎ上りで価値が上がっているものも…
<ファミールカンパニー 加藤稔樹さん>
「このアズキというプロジェクトは、いま(1作品の)最低価格が1000万円。今年1月頃はまだ40万円だったのでこの3ケ月で25倍になった。NFTの証明がつくことで本物を持っている人しか入れないイベント(の入場券としても)活用され始めている。それが値上がりしている要因なのでは」
この会社で働きながら、デジタルアーティストとしても活動する女性は「NFTがアーティストを守る世界」を歓迎します。
<デジタルアーティスト 福地里奈さん>
「嬉しいことですね。今までは自分で描いてないのに別の人が描いた作品を(ネットに)まるっと載せて『私が描きました』っていう人が結構いた。著作権が明らかになるというか『私が描いた』とはっきりするのは大きい」
本物を証明する新しい技術が、アートの世界を大きく変えています。