がん治療などで髪が抜けた人におしゃれを楽しんでもらう広島生まれの「ターボウ」というファッションアイテムがあります。

今回、このアイテムが浜松市の伝統産業とタッグを組み新たな商品を開発しました。

11月12日から遠鉄百貨店の特設コーナーで販売が始まった「ターボウ」。広島県福山市のネイリスト・髙田弥代さんが開発しました。

<ディポルト 田弥代代表>
「友人が病気になってしまって、髪の毛が脱毛してしまうと相談を受けたのがきっかけ」

ターボウはターバンのように頭に巻くだけではなく、帽子のように後頭部を覆う機能も付いていて、もともとは医療ケアのためにつくられたアイテムです。今回、浜松で売り出された商品は地元の伝統産業が生かされています。

田代表>
「伝統工芸の"遠州綿紬"の『ぬくもり工房』とコラボが実現しまして」

遠州綿紬とは浜松で江戸時代から伝わる織物で、日本の伝統と四季を感じさせるあたたかみとふんわりとした質感が特徴です。

今回、遠州綿紬をターボウの生地に提供したのが浜松市浜名区の「ぬくもり工房」。オリジナルブランドを含め50種類のアイテムを取り扱っていますが、伝統産業を残すためにはさらなる知名度のアップが不可欠と考えています。

<ぬくもり工房 大高旭代表>
「まだまだ製造工程を残していくとかという規模ではないので、ここから地域の方に根差して全国・世界に遠州綿紬を発信して環境を整えたい」

この悩みを解消したいと働きかけたのが、遠鉄百貨店のバイヤー・松村香里さんでした。2024年12月から検討をはじめ、2025年10月、ようやく商品が完成しました。

<遠鉄百貨店 バイヤー 松村香里さん>
「浜松はもちろんですけど、静岡県の代表の生地として県外の人に知っていただける機会になれば良いなと」

遠州綿紬のターボウは1つ9900円(税込)。従来の見た目をケアする商品は高額だったりおしゃれではないものが多かったのが実情でした。

<とちくぼ乳腺クリニック 杤久保順平院長>
「ターボウはおしゃれで機能性があって患者の気持ちを和らげてくれるアイテムになるのではないか」

このターボウ、医療ケア商品としてではなく、ファッションアイテムとして普段使いする人がいま増えているそうです。

<ターボウ使用者>
「自分はヨガのインストラクターを目指しているんですけど、頭に華があったらいいなと思って」
「わたしくせ毛なんですよ。だから髪がうねってしまいやすいがターボウのおかげで隠せるので、夏は良いなと」

今回、遠鉄百貨店ではターボウの特設会場をあえて婦人服売り場に設けました。

<遠鉄百貨店 中村真人常務>
「ターボウ=アピアランス(見た目)ケアということではなく、誰もが区別なくおしゃれを楽しんで頂く、ここに重きを置いた展開になっている」

髪を失った人に寄り添うため開発されたターボウですが、いまは患者と健常者の垣根をなくすためのステップに踏み出しています。