2025年は昭和元年から数えて100年目。時代を超えて愛され続ける味を紹介します。
今回は浜松市天竜区にあるハンバーガーショップのカツ丼です。
閉店してしまった店でかつて多くの人に親しまれていた一杯をアメリカ好きの店主が復活させました。
パティを鉄板で押しつぶし、肉のうま味を閉じ込める。
アメリカ発祥のスマッシュバーガーと呼ばれる本格的なハンバーガーが人気の店、「8BURGERS(エイトバーガーズ)」。
店主の耳塚直樹さんはハンバーガーとアメリカ好きが高じて、2025年2月、浜松市天竜区二俣町二俣でバーガーショップを始めました。
<来店客>
「パティとバンズと全体的なバランスが良く、みんなにすすめたいハンバーガーです」
耳塚さんは店の内装も手作りし、アメリカンにこだわっていますが、外観はこれまで縁もゆかりもない元あった店の看板を残しています。
<店主 耳塚直樹さん>
「『すみよし』って名前が二俣には評判が良くて、昔から来ている人たちが『残しておいてもいいんじゃない』って言ってくれて、そういう意見もあるなら、そのまま大事にしていこうと思って残しています」
閉店した「すみよし」。昭和26(1951)年から74年間、地元住民に愛されてきました。
特に店主の住吉清さんが作るカツ丼は大人気。
そのカツ丼をバーガーショップの耳塚さんが2025年6月に復活させました。
<耳塚さん>
「ここの地に『すみよし』っていうのが大きな存在だと思ったので、何か残したいなと思ったときに(住吉さんの家族に)カツ丼のレシピがありますかって聞いたときに、『レシピ、お父さん書いたのがあるよ』っていうのがきっかけで、古くから愛されたカツ丼をやってみようって感じで」
すみよしのカツ丼の特徴は砂糖をたっぷり使った味付けです。
<耳塚さん>
Q.最初にレシピを見たときの印象は?
「『甘すぎない?』って思いましたよ。本当に合ってるのかって、疑いはありましたけど」
甘辛いつゆは少なめで、カツにしっかり味を閉じ込めます。
<耳塚さん>
「甘さが強いので、すぐ煮詰まっちゃうので火加減が難しいんですよね」
耳塚さんは昔のすみよしの味を再現するため、かつての常連客に味を何度も確かめてもらい、3か月間、試行錯誤を重ねました。
住吉さんの家族から譲り受けたどんぶりに盛られ、復活したカツ丼です。
つゆが少なめなので、出来立てのカツ丼は衣のさっくりとした食感も楽しめます。
カツ丼は予約制で、月に一度、第4木曜日に味わうことができ、この日も40個の注文が入っていました。
<来店客>
「すごくおいしいです。毎月ずっと、ある限り」
住吉さんの家族も自前のどんぶりを持ち込み、毎月カツ丼を注文しています。
<すみよし店主の妻 住吉まさ子さん>
「私もうれしいですよ、家族も喜んでますもんね、娘や息子もやっぱりね」
<すみよし店主の娘 住吉睦子さん>
「ここの場所に多くのお客さんが来てくれてるっていうこともすごくうれしくて、ここでオープンしてくれたことには感謝をしています」
<昔からの来店客>
「清さんの顔が浮かんでくるじゃないけど、あの時こんな感じでもらったなというのを思い返しながら、それをもう一回追体験できるっていうのは本当にありがたい」
<耳塚さん>
「清さん、清さんって言ってね、みんな思い入れがあるお店だと思うので、みんながつながれるようなお店になって、楽しんでもらえればいいかなと思っています」
地域の人たちに愛されたすみよしのカツ丼は、ハンバーガーショップで再び歴史をつなぎます。







