いま、静岡県内でも外来生物の「ヌートリア」が農作物を食い荒らすなどの被害が相次いでいて、静岡県磐田市では独自の取り組みが始まりました。この「厄介者」を駆除するだけでなく、ある形で利活用しようという取り組みです。

9月24日午後、磐田市役所で行われた調印式。市と地元の猟友会、JAなどがタッグを組みました。

<JA遠州中央 山田耕司代表理事>
「天竜川をどのように渡って来るのかというのはあるが、一回(被)害が出ると手が付けられなくなるので」

オレンジの前歯が特徴的な外来生物「ヌートリア」。南米原産の動物で、日本には毛皮の原材料として持ち込まれましたが、需要が減少すると飼育されていたものが野生化していきました。コメや野菜などの農作物を食い荒らす被害が深刻化しています。

<浜松市の米農家>
「(ヌートリアの)通り道もあるし、稲が倒れていて、食べられたあとも分かる。全体を通して収穫は2割前後の減少が予測できる」

磐田市内でも目撃情報が出てくるなか、市では驚きの方法でこの「厄介者」対策を考えました。

<磐田市 草地博昭市長>
「わたくし、いただきたいと思います。(食べる)うん、おいしいですね」

なんと、ヌートリアを食べてしまおうというのです。そもそも、ヌートリアは食べられるものなのでしょうか。静岡県菊川市にある「西欧料理サヴァカ」では、5年ほど前からヌートリアのジビエ料理を提供しています。

<西欧料理サヴァカ 山口祐之オーナーシェフ>
「これがヌートリアの背ロース。クセがない肉なので、どのような料理にも向いている使いやすいお肉」

<浜松総局 伊豆川洋輔記者>
「肉質としてはとても柔らかくて、噛めば噛むほどうまみが出てくるそんなお肉だと思う。おいしい」

<山口オーナーシェフ>
「ヌートリアはどの部位食べても柔らかい。(ヌートリアの肉は)完全に冷えても固くならないところがある。流通すれば本当に市場価値もすごい高いお肉になるんだと」

静岡県磐田市では今後、県立農林環境専門職大学の研究者らとともにヌートリアの肉に含まれる栄養素などを分析し、新たなメニューを考案したいとしています。

<草地市長>
「十分にジビエとしては利活用できる手ごたえを感じた。あとはコストとか、売れるものになっていくのかとか、課題がたくさん出てくるだろうから、そうしたものを乗り越えていけば、ジビエとしては可能性があるんじゃないか」

厄介者を駆除し、その命をおいしくいただく。静岡県磐田市の取り組みが、ヌートリアへの見方を変えるかもしれません。