プロ野球ウエスタン・リーグのくふうハヤテは9月4日、田中健二朗投手(35)が今季限りで現役を引退することを発表した。5日に本拠地・ちゅ〜るスタジアム清水で会見を開く。球団の創設当初からチームを引っ張ってきたベテラン左腕は、“NPB12球団復帰”という目標は叶わず、ユニホームを脱ぐ決断をした。
常葉菊川高校出身の田中は、2007年春のセンバツで優勝を果たし、同年夏の甲子園でもチームを4強に導いた。この年秋の高校生ドラフトで横浜(現:DeNA)から1位指名され入団すると、貴重な救援左腕として活躍し、2016年と2017年には2年連続で60試合以上に登板するなどチームの上位進出に貢献した。左肩やひじのけがに苦しみながらも、横浜、DeNAで通算16年プレーし、274試合に登板、14勝13敗1セーブ、64ホールドをマークした。

2023年オフに戦力外通告を受けると、NPB12球団復帰を目指して、この年に誕生したくふうハヤテに入団。高校以来となる静岡での生活が始まった。1年目の昨季は開幕から15試合連続無失点と好投を続け、くふうハヤテの公式戦初勝利となった3月22日の阪神戦ではチーム初セーブを記録した。
しかし、コンディション不良もあり、6月からは長期離脱を強いられ、NPB球団の支配下登録期限である7月末までにオファーはなかった。2024年は18試合に登板し、防御率1.40、0勝1敗3セーブという成績に終わった。今季は、切れのある直球と落差のあるカーブを武器に、昨季を上回る31試合に登板(9月4日時点)、防御率2.08で3勝0敗3セーブの成績を残したが、今年も12球団からのオファーは届かなかった。

球団は当初、引退会見という言葉をあえて使わなかったが、田中本人の意向もあり引退会見であることを事前に明言した。計38人の選手のうち、20代は32人、10代も3人在籍していて、その平均年齢は24.5歳。まだ若く、経験も浅いチームを技術面、精神面から支えてきたベテランの引退。静岡から最高峰の舞台へと羽ばたいていった左腕は、第二の故郷でプロ野球選手人生にピリオドを打つ。