静岡県の県境付近まで迫っている山梨で進むリニア工事が静岡県内の地下水に与える影響について、県の専門部会で10月31日に話し合われ、県の難波喬司理事がJR東海の計画を批判しました。JR東海は山梨県内の工事を止めるかどうかの協議に応じる姿勢を示しました。

31日の専門部会では、JR東海が静岡との県境920m手前まで進んでいる山梨工区の進捗状況を説明しながら、「県境を越えたボーリング調査をした上で、県境まで掘削を進める」と今後の計画を伝えました。これを厳しく批判したのは、リニア対策本部長として31日が最後の出席となった難波理事です。

<静岡県 難波喬司理事>
「県境付近まで掘ったら静岡県内の水が山梨県側に流れるということですね。あるなしで言えばあるということですね」

<JR東海 澤田尚夫執行役員>
「そうですね。先進坑を掘った時の水を全量を戻すという話がありますので、そこは整理しなければいけない問題として認識しています」

<静岡県 難波喬司理事>
「それだったら、なぜ県境まで先進坑の掘削を進めますとお書きになるのでしょうか。これは県民の感情、懸念を全く無視した表現」

難波理事らは「水の戻し方が決まっていないのに、流出の可能性があるボーリング調査や掘削は進めるべきではない」と反発しました。これを受け、JR東海は「水の戻し方も含めて対話したい」として、今後、山梨県内の工事を止めるかどうかの協議に応じる姿勢を示しました。

またJR東海は、東京電力の発電用の水を大井川に還元するいわゆる「田代ダム案」について、「『水利権の目的外使用や譲渡にはあたらない』とする政府見解が得られた」と説明。今後、田代ダム案の実現性について早急な検討が進められるものとみられます。