静岡県裾野市の北部に位置する須山地区。ここに地元の人が愛してやまない“幻のうどん”があります。今回のしずおか産は、裾野市須山地区で作られる「すやまうどん」。一番の特徴は、もっちりとしたコシの強さです。

<東部総局 青島悠記者>
「すごく細い麺なんですけど、コシが凄く強くて、さらに食感がすごくモチモチしていて、他のうどんには無い感じの味ですごく美味しいです」
80年以上の歴史を持つ渡邉製麺です。
<渡邉製麺 渡邉吉巳さん>
「僕のおじいさんの代から始めている。昔は裾野市内に5~6軒、製麺所があったが今はうちだけになっちゃった」
渡邉製麺は、すやまうどんを製造する唯一の製麺所。創業当時から変わらず、良質な小麦粉と天然の塩、富士山の地下水で作っています。
<渡邉さん>
Q手で触るのは何か意味があるのか
「硬さ、水分が十分合っているかどうか。湿度の多い少ないで、水の調整をする」
生地が完成してから、すやまうどんづくりで1番重要な「転圧作業」が始まります。板状に伸ばした生地をローラーにかけて圧縮し、それを重ねていく作業を何度も繰り返します。

<渡邉さん>
「ここの層がすごいでしょ」
Qだいたい何層ぐらい重なっている?
「100層ぐらい。それも時間をかけるもんで」
この転圧作業の繰り返しが、すやまうどん独特の強いコシを生み出します。
<渡邉さん>
「朝、きょうも5時からやっているから、最終的には8時間くらいかかる。だから時間はかかる」
1つ1つの工程に手間がかかるため、月に2回の製造が限界だといいます。大量生産が難しく流通量が少ないことからいつしか“幻のうどん”と呼ばれるようになりました。

すやまうどんは、ニンジンとシイタケが入った温かいつゆをかけるのが地元の定番の食べ方です。
<渡邉製麺 渡邉よし江さん>
「みんなで集まった時に、お祝いの席もそうだけれど(冠婚葬祭などで)必ず『すやまうどん』食べていただいている」
Q何かあると須山の人たちは須山うどんを食べる?
「そう。昔からある」
渡邉さんには大きな目標がありますです。
<渡邉さん>
「うち一軒だけじゃなくて、地域のブランドに、裾野(須山)地区の『うどん』というようなことで広まっていければ、将来が楽しみかなという思いを持っている」