リニア工事をめぐる国の有識者会議が開かれ、南アルプスを抱える静岡市へのヒアリングが行われました。静岡市は工事の発生土置き場のひとつについて懸念を示し、静岡県の難波喬司理事がJR東海の計画は認められないとの考えを示しました。
環境保全をテーマにして、3回目となった8月31日の会議では、南アルプスがある静岡市へのヒアリングが行われました。静岡市はリニアトンネル工事の懸念点として、大井川上流域の生態系への影響と発生土処理による影響の2つを挙げました。
中でも、発生土は370万立方メートルとされ、JR東海は360万立方メートルを工事現場に近い燕沢に、10万立方メートルを少し下流にある藤島沢に盛り土することを計画しています。
ただ、藤島沢で計画するのは7月に静岡県が施行した盛り土条例で禁止する自然由来の有害物質を含む盛り土のため、JR東海は例外的に盛り土が可能となる「適用除外」を受けることを念頭に、静岡県と交渉を進めていく考えを示しています。
しかし、静岡県の難波理事は会議後の会見でこのJR東海の思惑を一蹴しました。
<静岡県 難波喬司理事>
「JR東海さんは、あのような考えではありますが、県の条例の適用として、ここは対象外(除外)にはならない。(発生土を)かなり離れたところにもっていくということですから、適用除外の対象にならない。もしそういうものを適用除外したら、ほとんどのケースが適用除外になってしまう」
盛り土条例で認められないとなれば、JR東海は発生土処理計画の大幅な変更を求められることになります。