岡山県津山市で、一風変わった名前の店が、1日限定で開かれました。その名も「注文をまちがえるかもしれないレストラン」。フロアに立つのは認知症のある人です。接客を通して自信を持ってもらうとともに、理解も広めていこうという取り組みです。

(接客担当)「ご注文は聞いているでしょうか?」
(客)「まだです」

お昼時で賑わう津山市のレストラン。しかし、いつもと様子が違います。

(接客担当)「これはどこへ持っていったらいいですか?聞いたのは…聞いたのは向こうに持っていきましょうか」

認知症のある人が接客を担当する「注文をまちがえるかもしれないストラン」です。新型コロナの影響で4年ぶりの開催となりました。

(津山市地域包括支援センター 古山麻友さん〈社会福祉士〉)「認知症になってもできることは沢山ありますので社会参加の一つとして開催しています」

午後0時半までの第一部では普段、自宅で介護を受けている70代・80代の3人が参加しました。

(藤原満里子さん)「はい『そずり丼』です」

実家が大衆食堂で18歳まで看板娘を務めていたという藤原満里子さんです。他の参加者が慣れない作業に戸惑いも見せるなか、ブランクをものともせずテキパキと接客をこなしていました。

しかし、いざメニューが届けられると…

(客)「あれ?」

(記者)「どれを頼んだんですか?」
(客)「これを頼みました」

「来たのは?これです」

(スタッフ)「注文をまちがえるかもしれない料理店なので…」
(客)「そうなんですよね」

お客さんは、間違えたメニューを食べることを笑顔で承諾してくれました。

(客)「私もよく間違えるから人のことは言えない…」

最初は緊張していた参加者たちも優しい雰囲気に包まれた店内でいきいきと働き、コミュニケーションを満喫したようでした。

(藤原満里子さん)「何十年も過去やってきたことですから。みなさんと接することが嬉しいですね」

(有元房枝さん)「全く別の方とお話しできたことが楽しかったです。いつもと同じ人とは違うから」

接客した参加者と、お客さん。双方が幸せなランチタイムをすごしたユニークな料理店。次回は別の店で9月に開催予定です。