来年に迫るパリ五輪・パラリンピックです。日本ランキング1位、岡山からパラアーチェリー出場を目指す選手を取材しました。

歯で噛みしめてピンと張った弦から、的へと放物線を描く弓矢。

初速は約200キロ新幹線並みの早さです。

パラアーチェリーで来年のフランス・パラリンピック出場を目指す、大江佑弥選手(35)です。

現在、倉敷市役所玉島支所に勤めながら練習を重ねる大江選手は、日本ランキング1位、世界ランキングは22位です。

今年5月の国際大会でも3位の好成績を収め、まさに日本のパラアーチェリーをけん引するアスリートです。

(大江佑弥選手)
「矢を射るという非日常がすごく楽しいなと思ったし、自分が思うところに打てた時がはやり楽しいなと感じますし」

まだまだマイナーなパラアーチェリー。支援者の支えや実費で、国内外の大会を転戦しているといいます。

そんな大江選手、実は幼いころから白球を追いかける野球少年で、倉敷商業高校では県大会ベスト4にも進出しました。

しかし、20代で3度の脳出血を発症、3度目は入院生活が半年に及び、右半身には今もまひが残っています。それでも「打つ込める何かを」と探し求める中で出会ったのがパラアーチェリーでした。

(大江佑弥選手)
「27歳の時にこの障害を負って、障害を負っても楽しい、充実した人生を送れているので」

大江選手が巧みに操る弓を、私も体験させてもらいました。

(杉澤眞優キャスターリポート)
「こんなに固いんですか。私が両手で引いても、これが限界です」

病を期に挑んだパラアーチェリーで、パラリンピックという目標と出会った大江選手。

ひたむきに競技と向き合いながら憧れの舞台に立ってこそ、自分自身を認めることができると話します。

(大江佑弥選手)「パラリンピックに出場してメダルを取って、本物の選手にそこでなれると思っていますので」

日本代表の大江選手は、7月13日からチェコで開催される世界選手権に出場し、パラリンピックの出場枠獲得を狙います。