5年前の西日本豪雨で、岡山県内では61人が亡くなり、いまも3人が行方不明のままです。行方不明の1人、新見市の男性の家族に、まもなく5年を迎える今の思いを聞きました。

西日本豪雨から5年 あの日からいまだ帰らぬ夫

「これは『花きゅうり』言うてね。最初になるのを早く採ってあげたほうがいいんですって。主人はようかんが大好きだから」

夫の写真を前に手を合わせる室信子さん。

5年前の7月6日。夫の廣明さんは行方不明になりました。そして今も帰ってきていません。

ー5年前を忘れたいと思いますか?

(室信子さん)
「いや忘れたいとは思いません。あったことは事実なんですからね。だからいつもどこかにいるような気がしてね」

あの日、夫は飼い犬の散歩へ 犬だけが帰ってきた

その日の早朝。岡山県新見市では、前日から降り続いた雨は弱まっていました。

夫の廣明さんは、日課だった飼い犬の散歩へ。その後、犬だけが帰ってきました。廣明さんは増水した川に流されたとみられています。

(室信子さん)
「絶対に藁をもすがる気持ちで掴まってたに違いない思うて。もう後からね、捜索とか捜査の方に私は連絡したけど、なんであの時に探しに出なかったんだろうと思って。きっと出てたらどこかにいたはずだと」

「あの時すぐ探しに出たら、ってことを姉なんかに言うと、『あんたも一緒に絶対はまってるよ』って言うけど、その時はその時だと思ったんですけどね」