香川県観音寺市で約半世紀続く、小学生を対象とした洋上学習が今年も始まりました。離島を訪れ文化を学び、次の世代に伝えていくために訪れたのは、イリコ漁に沸く伊吹島です。

瀬戸内の海を進む船に小学生の姿が。観音寺市で47年間続けられている洋上学習です。

向かうのは観音寺市で唯一、人が住む離島、伊吹島です。訪れるのは初めてという児童もどういう島かは知っています。

「伊吹島といえば?」(児童)「イリコ」

「イリコがどんな風に加工されていくのかが気になる」

夏を前に燧灘に集まるカタクチイワシ。

イリコの原料をとる、伊吹島の伝統漁が解禁を迎え、島は活気づいていました。島の岸壁に戻ってきた船を児童たちがのぞき込みます。

「船の倉庫の中にこれを突っ込んで吸い上げます。吸い上げたらこれが加工場にずっと行くんですよ」

すばやく加工するために島の人々が生み出した技術を児童たちは学びます。

上質なイリコを作るための工夫を、茹であがったばかりのイリコを食べて実感します。

(児童)「おいしい!イリコをたくさん作っててすごいなって思った」

(伊吹島ボランティアガイド 篠原幸喜さん)「伊吹島が他の島と一番違う点は、伊吹は海岸に砂浜がないんです。だから昔から伊吹は漁業の島ということで生計を立ててたんです」

ボランティアガイドの篠原さんが伝えるのは、島の中で続けられてきた人の営みです。

(伊吹島ボランティアガイド 篠原幸喜さん)「今から50年ぐらい前までは本当に雨水だけで生活してたんです。雨水を貯めて、飲み水、風呂、洗濯に使ってました」

イリコ漁で栄えた伊吹島も、今では人口は最盛期の10分の1に。高齢化も進み島に小学生は5人しかいません。だからこそ、島の外からきた子どもたちに歴史と文化を伝える洋上学習が必要だといいます。

(伊吹島ボランティアガイド 篠原幸喜さん)「こういう洋上学習でもなければ来ることのない小学生に見てもらって理解してもらって、それが第一歩だと思うので。もうちょっと伊吹島を賑やかにしたいとか、未来があるようになったらいいなと

(児童)「きょう学んだことをいろいろな人、例えばお母さんとかいろいろな人に教えたい」

今年は約500人の児童が伊吹島を訪れる洋上学習。島の歴史と文化が子供たちにより伝えられていきます。