「おむつ」に関する話題です。子育ての経験がある皆さんは、こども園などでお子さんが使ったおむつをどう処理していましたか? これまで園によっては「汚れたおむつを保護者が持ち帰る」、あるいは「園で処分する」と対応が分かれていました。

しかし今年に入り、国が保護者の負担を減らそうと「園での処分を推奨する」と急遽方針を示したことで、今、保育の現場は大慌てになっているのです。現場を取材しました。

「これが、4月から導入している “使用済みおむつ” 専用のダストボックスです」

手洗い場に設置されているのは、使用済み紙おむつ専用のごみ箱です。現在、「0歳児1人当たり、平均3枚分の紙おむつを捨てている」といいます。

(白菊保育園 湯浅禮行園長)
「この小袋に1個ずつ、個包装して下に入れる。中にビニール袋も入ってますので2重になります。従来は各家庭用に名前を書いて分けてましたけど、それが分けなくて1個ずつ入れていく形になるので、現場の方も少し負担が減るのかな」

岡山市にある白菊保育園です。この園では、これまで汚れた紙おむつは、
・健康状態の確認
・子どもがトイレを使えるように練習する=トイレトレーニングの進捗状況を確認
…するため家庭で処分するようお願いしていました。しかし今年1月、国の方針を受けて、急きょ、対応を変更しました。

(加藤勝信厚生労働大臣)
「厚生労働省としても、保育所等において使用済みおむつの処分を行うことを推奨する」

厚生労働省は子育て支援の一環として「保育所などでの使用済み紙おむつの処分を推奨する」と各市町村に通達。衛生面や持ち帰りによる保護者の負担を減らそうというものでした。

しかし、新年度前の急な発表だったため、各自治体でいまだに対応が分かれているのです。

岡山・香川の全ての自治体に電話取材をしたところ、岡山県では(早島町は公立園無し)現在、園内処分をしている市町村は15自治体。そして移行中・調整中が6自治体。いまだ持ち帰りをしているのは5自治体でした。香川県ではほとんどで園内処分となっています。

園で廃棄をしていない理由については、「急な方針で新年度予算に組み込めなかった」「トイレトレーニングの状況や健康状態をやはり確認してもらいたい」などの回答がありました。地域によっても差が生まれるなか問題も起こっています。

(白菊保育園 湯浅禮行園長)
「うちの施設は、4月からスタートさせたかったので準備をしていましたので…補助金は出ないと思います」

岡山市では、新年度から「ごみ箱の設置費用などの補助」を決めましたが、いち早く昨年度から準備をしたこちらの施設では、30万円近い初期費用が補助されませんでした。また園によっては、「おむつの処分費用を保護者から徴収する施設もある」といい、自治体や施設によって対応が分かれているのです。

(おむつ処分費用・保護者無料の対応をする 白菊保育園 湯浅禮行 園長)
「いろんな物価高の中で、収集運搬業者さんの値上げの要請も施設にありました。そういった部分でもランニングコストが増えると思います。収集運搬料は月間で数万円増えると思います」

【解説】
今回取り上げた「おむつ問題」。自治体によって処分の対応が、「持ち帰り」か「園内処分」か分かれていますし、施設によっては処分費用の捻出も「園」「自治体などの補助金」はたまた「保護者に負担を求める」か分かれているのが現状です。

国は、処分費用に関して明言をしていませんが、地域によって差が生まれるおそれもあり、国や行政による「積極的な旗振り」が求められています。