数千の遺伝子発現が変化 分子レベルで裏付けられたPOLS

今回の研究がとりわけ注目される点は、行動や寿命にとどまらず、遺伝子発現パターンにまで踏み込んで解析を行った点です。

RNAシーケンスによる網羅的な遺伝子発現解析の結果、H系統では脂質代謝・酸化還元反応・解毒および異物代謝(P450関連)に関わる遺伝子群の発現が高く、活発な活動を支えるエネルギー代謝機能が強化されている可能性が示されました。

対してL系統では、小胞体関連・代謝関連・細胞外関連の遺伝子群で異なる発現パターンが認められ、細胞の恒常性維持に関連する分子機構が特徴的である可能性が示されました。

これらの知見は、運動活性に対する長期的な選択圧が、行動だけでなく、寿命・繁殖・代謝・細胞機能を支える分子機構にまで及ぶことを実験的に示すものです

これまでPOLS説は主に理論や表現型レベルで議論されてきましたが、この研究は人為選抜実験とトランスクリプトーム解析を組み合わせることで、その分子基盤を世界で初めて包括的に実証しました。