変わり果てた妹を見せまいとする父の思い
変わり果てた姿をきょうだいに見せまいとする父親と、どうしても会いたいとすがる兄。凄惨な現場で起きた、家族のあまりにも悲しいやり取りを振り返ります。
(寺輪 悟さん)
「私は妻を抱え、『間違いなく探していた博美です、私たちの娘です』とその場を妻を抱えて後にしました。外に待ち構えていたのは、お兄ちゃんとお姉ちゃんです。『どうだ、博美なのか』」
「私は即答はできませんでした。とりあえず妻を車に乗せ、そしてお兄ちゃんに『博美なの、会わせろ』と。私は仕方なく頷きました。『そうだった』と」
「お兄ちゃんは『会いたい、会わせろ』と。お姉ちゃんもそうです。『博美なの、博美なの、本当なの、この目で見る』」。
「しかし私はどうしてもあの光景は、お兄ちゃんとお姉ちゃんに見せることはできなかった。それが合っているのか間違っているのかは、今でも分かりません。でもあの光景だけは、この可愛い顔からは想像もできないぐらい無残な姿だったということです」
「お兄ちゃんは殴りかかりに来て、私と取っ組み合いの喧嘩になります。半ば力ずくで私は2人を車に押し込み、警察官の方に『車を出してくれ』と。
『いいんですか』
『いや、いい。とにかく出してくれ』
と言ってその場を後にしました。これが博美とやっと会えたときの状況です」
最愛の娘の無残な死、という受け入れがたい現実に直面した寺輪さんたち家族。しかし、そんな遺族を待っていたのは、マスコミによる執拗な取材というさらなる苦痛でした。
講演会は徳島県警察本部が開催したもので、警察学校の初任科生や市民など約140人が聴講しました。
【第3話】へ続く
「私はすぐさま殺しに行きました。飛びかかりに行きました」裁判所で娘を殺害した少年に対面した父 遺族を襲うマスコミの過熱報道と司法の壁「減刑された理由はなんですか、裁判長」










