娘が加害者に投げかけた問い

加害者が謝罪のため熊本を訪れたとき、深迫さんは忍さんの骨壷を持参しました。

「身長が182もあった息子が、こんなちっちゃい中に入っているんだ。なんでこんなことになったんだ」と訴えました。

隣で黙って聞いていた娘が、小さな声で「すみません、すみません」と言い始めました。深迫さんが何か言いたいのかと尋ねると、娘は加害者に向かって語りかけました。

「お願いがあります。私は人を殺したことがないんです。あなたは人を殺しましたよね。人を殺してどうやって生きていってるんですか? お願いです。聞かせてください」

娘は、何度も何度も同じ問いを繰り返しました。

「私は兄に会えないんです。あなたは大切な家族がいるんですよ。私は大切な兄がいなくなったんです。兄にどうしても会いたい。でも、あなたが殺したんですよね。どうして殺したんですか?」

この問いかけは、加害者にとっても深迫さん一家にとっても、重い意味を持つ時間となりました。

【後編】に続く
「よく人前で死んだ子の話ができますね」事故で亡くなった男性の母親に向けられる心ない言葉 それでも前向き「無関心から共感へ」


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