犬や猫の殺処分数が、全国的に見ても岡山県は “少ない”といいます。背景にあるのは、行政や個人から犬や猫を預かり、譲渡先を見つける「ボランティア」の存在です。
10年に渡り活動をしてきた岡山市の獣医師の女性に思いを聞きました。


「食べられるかな、ごはん。お待たせ。食べられるよ、自分で食べられるよ」

家の中で世話をしている猫は、現在40匹を超えているといいます。


(獣医師 吉田貴子さん)
「この子は、ナイロン袋に入れられて捨てられていました。いま一週間くらい。お母さんのお乳を探しているんです。がんばろうな」


岡山市中区に住む、獣医師の吉田貴子さんです。岡山県の動物愛護センターなどから「放っておくと殺処分されてしまう猫」を預かり、新たな飼い主を探すボランティアを個人で行っています。


10年前、新聞でボランティア募集の告知を読んだことが、使命感に駆られるきっかけになりました。


(獣医師 吉田貴子さん)
「小さい頃から『猫ちゃん好き』だったんですけど、せっかく獣医師免許もあるのに、ほかの人よりは知識も経験もあるので、これを活かさない術はないと思って。失われる命を一匹でも減らしたい」

「人間でいう点滴なんです。ミルクの飲みがいまいちなので」


「こんにちはー、連れてきました!」
施設から猫を運んできてくれる協力者もいて、毎日のように新たな猫がやってきます。こうした猫たちの飼育を自費で続けながら、自宅と市内の公民館で譲渡会を開いてきました。
この10年で、新たな飼い主に繋げることができたのは2000匹以上に上ります。


(獣医師 吉田貴子さん)
「下手をすると『殺処分されて灰になってしまうかもしれなかった命』がですよ、こんなに大切にされて、誕生日とか祝ってもらって。すごく嬉しい」

一方で、2020年度に岡山県で殺処分された猫の数は103匹。その数は全国7番目の低さですが、それでも「ゼロ」にはなることはなく、ボランティア活動にも終わりは見えません。

(獣医師 吉田貴子さん)
「とにかく猫ちゃんに限らず生き物を飼うんだったら、最後まで責任を持って飼ってあげてほしい。一匹でも悲しい思いをする子が減るようになって欲しい」

「そうなったら、私たちのようなボランティアは必要なくなるので、いつかそういう世の中がくるのが私の願いです」


「大切な命が失われることのない地域・社会」になれば。。。吉田さんの強い願いです。
(スタジオ)
吉田さんは一日一組限定で、毎日自宅で「譲渡会」を行っています。詳しくは吉田貴子さんのブログをご覧ください。