全国の返礼品を楽しめる「ふるさと納税(※)」ですが、10月からルールが変わりました。

(※)ふるさと納税…自分の選んだ自治体に寄附を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度(一定の上限あり)。(総務省:ふるさと納税ポータルサイトより)

自治体は『寄付額の5割』の中に、返礼品自体・送料などの経費を収めないといけません。

これまでは仲介サイトに支払う手数料などを5割に含めないケースがありましたが、今年10月からは“全ての経費を含める”ことになりました。

同じ返礼品に対して10月から寄付額が上がる、もしくは返礼品が減る傾向ということです。

ルールの変更から2か月、ふるさと納税の今を取材しました。

去年と比べて予約は“3分の1ほど”

熊本県玉東町(ぎょくとうまち)ではミカンの収穫が最盛期を迎えていました。

徳山農園 徳山道拓さん「木の下になっているミカンと中に入り込んでいるミカンは味が遅れてくる。何段階かに分けて収穫しています」

徳山さんのミカンは、玉東町のふるさと納税の返礼品に選ばれています。

どんなに忙しくても、配送前のチェックは自分の目でおこなうのが徳山さんのこだわりです。

徳山さん「いっぱい作っている箱の中の1つかもしれないけど、届いた先の人は1箱だけのものなので、開けた時に『わぁ!』ってなってもらいたいなと思って詰めています」

徳山さんが育てたミカンは玉東町の返礼品の中でも人気の商品ですが…。

徳山さん「去年と比べたら(ふるさと納税)改正後の予約はだいぶん減りました」

去年の同じ時期と比べると予約は“3分の1ほど”だと言います。

予約が減っているのは徳山さんのミカンだけではありません。

玉東町企画財政課 坂西須賀子さん「(この時期)ミカンが一番シーズンで返礼品に選んで頂けるが、制度改正でミカンの価格を上げざるを得なくて、寄付が入らない状況です」

玉東町の昨年度の寄付額は『約12億6000万円』と、熊本県内で6番目の寄付額を誇ります。

しかし、10月の改定で寄付額を最大15%上げざるを得ず、10月以降は寄付が伸びていないといいます。

坂西さん「去年を100%とすると、10月は15%から20%いくかなくらいしか(寄付が)入っていないです。11月も厳しい状況です」

寄付金は給食費や18歳未満の医療の無償化などの財源で、減少は町にとっては痛手です。

ふるさと納税を運営代行している企業は「ほかの市町村でも状況は一緒」だと言います。

サイバーレコード 福田奈奈マネージャー「寄付の募集にかけられる経費が圧迫されるので、寄付額の引き上げや返礼品の量を減らすなどの対応を余儀なくされている自治体がほとんどです。(10月・11月は)全体的に見ても厳しい状況」