国道3号そばの「宇城彩館」。熊本では言わずと知れた、人気の物産館です。

この広い売り場にある「有機野菜コーナー」には、生野菜のほかにトマトを中心とした様々な加工品も並びます。

そのトマトを作るのが「一生ものの仕事」と思い、約30年にわたって有機栽培に取り組む、澤村輝彦(さわむら てるひこ)さん。

澤村輝彦さん「朝のビニールハウスは気温20度前後。今週末からたぶん、気温10度台になりますもんね」

5年ほど前から、地元の宇城市に加え、産山村でも農業を始めました。

ーーその理由は?

澤村さん「宇城市だと、夏はトマト作りができないんです。でも、その時期に産山村でトマト作りができる。1年を通して、トマトをオーガニックで供給できるのは日本でもまだない」

広さ900坪ほどのビニールハウスには8月上旬に植えたトマトの苗。

澤村さんは、農薬や化学肥料に頼らない有機栽培で「年中出荷できるトマト作り」を模索し続けています。そして、その志に共感する仲間がいます。

2001年に設立した「肥後あゆみの会」です。

柑橘や野菜を作る宇城市の農家6軒が「有機栽培で自立できる農業経営」を目指し集った、いわば『運命共同体』。

澤村さん「有機農業は理想なんですよ、聞こえはいいじゃないですか。有機農業って。でも収量はまだ一般に栽培している皆さんのようにうまくいっていない」

出荷量を増やすことが課題ではあるものの、作った野菜の味には自信があります。

有機野菜トマトの栽培へのこだわり

澤村さん「ここ(の畑)はすっげえ入っている」

美味しい野菜を栽培するカギは、自家製の肥料。

農業用のフロントローダで攪拌するのは、米ぬかを多く使った「ぼかし肥料(発酵肥料)」です。

肥後あゆみの会 澤村光大さん「今回はちょっと少ないのでだいたい6トンぐらい。(手ですくってみて)いい感じだと思います。(発酵途中なので)お風呂の温度ぐらい、今は40度くらい」

そして、海藻や山菜などに黒砂糖を加え熟成させる天然エキスの肥料も。

どの肥料も自然にある素材から作り出し、手間ひまをかけて、野菜の実りにつなげているのです。

肥料だけに限らず、余すことなく消費者に届けたいと「商品開発」も始めました。

その商品とは…?