ロシアによるウクライナ侵攻から、この7月で500日を超えました。
長引く戦争で息の長い支援が求められる中、あるプロジェクトが動き出しています。関係しているのは球磨焼酎。
熊本市で暮らす津地佑星(つじ ゆうせい)さん(13)。

去年2月、ロシアによる侵攻が始まる1週間前、ウクライナから脱出し、父や兄がいる熊本に避難しました。

水泳に打ち込み、ウクライナ各地の大会に参加して、友人と楽しく過ごした平和な日々は、一瞬で奪われました。

津地佑星さん「ハリコフののプールが、ロシア軍のミサイル攻撃で壊され、めっちゃ悲しかった。1秒でも早く戦争が終わってほしい」

今もウクライナには母親のバレリアさん(45)の親族が残り、戦火に怯える日々。

父親の秀隆(ひでたか)さん(53)は、日本での関心が薄まることを懸念しています。去年3月には熊本城がウクライナの国旗の色にライトアップされましたが…
津地秀隆さん「侵攻から1年の時に、みんな支援疲れみたいなのがあったもんだから、ここであと1回くらい、こういうの(ライトアップ)があればと思ってお願いしたんですけど、それ自体も『何か検討します』ぐらいで終わってしまったんで…」

こうした中、息の長い支援を続けようというプロジェクトが始まっています。
「かんぱーい!」

この球磨焼酎、ラベルにはウクライナの国旗。

じつは、この球磨焼酎『一本飲むと100円がウクライナ大使館に寄付』されるというプロジェクトに参加する特製の焼酎なんです。

ルネサンス・プロジェクト 中村鉄哉社長「1本飲めば、我々が代行して100円を寄付するということでやると、簡単に大勢の人が参加してくれるのかなと」
この特製の球磨焼酎を作っているのが人吉市の「深野酒造(ふかのしゅぞう)」です(創業1823年)
小麦が名産のウクライナを意識して、酒の色も琥珀色(こはくいろ)に仕上げました。
樽で熟成しているため、ウイスキーのような風味と、ほのかな甘さを感じられるのが特徴です。

平和への思いを込めて「ピース・フォー・ウクライナ」と名づけました。
深野社長は今回のプロジェクトに手を上げた思いをこう語ります。
深野酒造・深野誠一社長(51)「この人吉・球磨も、令和2年7月豪雨で傷つきました。その時に、たくさんの方に支えられて今、復興の途中であります。ウクライナも短いスパンでは復興しませんので、長い間協力しながら、みんなで助け合っていっていければ」

お酒を飲んでウクライナを支援しようというこの取り組み。ほか2つの酒蔵も参加しているということです。
■麦焼酎「ピース・フォー・ウクライナ」(人吉市、深野酒造)
■純米吟醸酒「世流義ウクライナ」(京都市、佐々木酒造)
■麦焼酎「スタンド・ウィズ・ウクライナ」(佐賀・有田町、宗政酒造)

客「日常の中で何か、自分がやっていることが少しでも支援になるというのは、うれしいかな」
モンテローザ九州ブロック 岩本祐樹エリアマネジャー「人吉の焼酎ということもあって地元なんで、飲みやすいとご好評をいただいております。3種類のお酒を飲んで、ウクライナ支援をお願いします」

先ほど紹介した津地佑星さんは日本国籍のため人数に含まれませんが、熊本県によると、県内には7世帯17人のウクライナ人が避難してしています。
このうち5世帯15人が暮らす玉東町の担当者によりますと、避難している人からは戦争の長期化で「将来を描きにくい」といった声が上がっていて、こうした声にどう寄り添っていくかも課題です。
玉東町では「ふるさと納税」に返礼品のない「ウクライナ避難民の方々への支援」を設定し、受け付けています。









