熊本市の下通アーケードに無断で灰皿が設置され、関係者が困惑しています。

なぜ設置されたのか、そして、なぜ撤去されないのか。その疑問を取材しました。

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これは視聴者からの情報提供を受ける「RKKスクープ投稿」に送られてきた写真です。そのメッセージには。「喫煙所が出来ているが熊本市は中々対応しない」とありました。

情報をもとに現場へ行くと、下通と新市街のアーケードが交わる場所に、確かにスタンド型の灰皿がありました。

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しかし、周辺は熊本市の条例で「路上禁煙区域」に指定され、さらに分煙化を進めるため、近くにあった灰皿も3年前には撤去されています。周辺で話を聞 くと・・・

――いつから設置されている?
近くの店舗のスタッフ「誰が設置したかは分からないが、たぶん、設置されたのは1か月、2か月前。夕方、土日は皆さん集まっているという感じですね」

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近くの店の人によりますと、灰皿は1か月以上前から設置されていて、周囲には次から次へと人が集まり、いまや「喫煙所」と化しているといいます。

通行人「みんな喫煙所と思っている」
通行人「え~?知らなかった。じゃあ、吸うのやめます」

さらには観光客も・・・

韓国からの観光客「ちょうど良い場所あるなと思って吸っていた。ちゃんとした灰皿なんで、アハハ」

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熊本市には6月中旬以降、灰皿の撤去や路上喫煙の改善を求める声が寄せられています。そのため市は灰皿を設置した人物を特定し、何度も電話で撤去を呼びかけているものの応じてもらえないといいます。

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しかも、灰皿が置かれている場所は私有地ではなく、公道です。公道に無断で物を置く行為は道路の不正使用にあたり、違法行為とされています。それでも灰皿は撤去できないのでしょうか。

道路を管理する熊本市の担当者に聞きました。

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熊本市中央区土木センター 坂口寛 総務課長「道路法上で所有権が実際にあるものは強制的な撤去ができない。粘り強くお話をして、撤去してもらうよう指導している」

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そこで市は、7月下旬、灰皿に警告文を貼り、ビニールで覆って使えないようにしました。しかしその後、ビニールがはがされ、灰皿は今も設置されたままです。

灰皿があることで、受動喫煙や火事につながる恐れもあることから、市はパトロールを強化する方針です。

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現場で取材をしていると、灰皿を設置したという男性が現れました。男性に設置した理由を尋ねると。

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設置した男性「吸い殻が落ちているので、とりあえず応急処置で」

男性は「環境美化のため」と説明しました。そして、再三の市の撤去要請を認めながらも、吸い殻のポイ捨てを見過ごせないと主張しています。

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設置した男性「撤去するつもりはないですね。最後まで徹底的に行こうと。そこから先は考えます」

ただ、この方法については、あまり賛同を得られていないようです。

通行人「勝手に設置してはいけないでしょう。個人的に持ってきてはいけないでしょう?」
通行人「ここにあると吸い続けるでしょうね。ない方がいい」

男性の思いとは裏腹に喫煙所出現を招いた灰皿の設置。市は引き続き撤去を求めています。

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――8月4日時点でどんな状況?

撤去を求める熊本市は先週の金曜日(8月1日)に灰皿の周辺へバリケードを設置しました。使用できないようになっている。

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――なぜ撤去できない?

事故の恐れがあるなど危険が及ぶ恐れがある場合は、一時保管のため撤去できるが、今回はそこまでの判断に至っていない。財産権や所有権、所有者が明確になっているため、強制撤去には多くの手続きが必要。時間がかかる。いわゆる「ごみ屋敷問題」と似たような構図になっている。

――撤去は困難?

熊本市は行政指導をしているが、今後、強制撤去も含めて検討していきたいとしている。

――事情を知らない観光客が喫煙していますね?

市のパトロール指導員から注意を受けて驚いた様子の人もいました。喫煙所と思い込んでいた。撤去が長引けば、景観が悪化するだけではなく、熊本市のイメージダウンにもつながる可能性もある。一日もはやい撤去に向けて知恵を絞って欲しいと思う。