きのう(29日)に伝えた天草で大量発生した謎の生き物について、地元天草の水族館がその生態を探ろうと動き出しました。

大量発生の理由、そして環境への影響など、専門家の見解は!?

5月26日に牛深の海で撮影された映像です。小さな生き物が大群になって海中を漂っています。よ~く見ると、羽根のようなものを動かしていて、その姿はまるで『流氷の天使・クリオネ』のよう。撮影したダイバーは。

動画を撮影したダイバー 水洗壽男さん「1匹1匹は非常に可愛いんですよ。ただ群れになっているものですからちょっと違和感がありました」

そしてきょう、現地には網とバケツを持った水族館の関係者の姿が・・・。

海中水族館シードーナツ 山中大葵飼育員「きょうは水族館に入れる珍しい生き物を獲りに来ました」

目的は水族館での展示!さっそく船に乗り込み撮影されたポイントに向かいます。しかし・・・
「あんなにいたのにどこ行ったのー」
潮などで流されたのでしょうか?移動しながら周辺を探していると。いました!ひらひらと泳ぐあの生き物です。弱らせないよう網で丁寧にすくっていきます。

海中水族館シードーナツ 山中大葵飼育員「いっぱい獲れましたね。今から水族館に持って帰って、あす(31日)から展示が出来たら良いなと。準備していきたいと思います」

ところで、この生き物の正体は一体?そして、なぜ天草で大量発生?海の生物に詳しい松本達也(まつもと・たつや)さんに映像を見てもらいました。

30年以上 貝類を研究 松本達也さん「あぁ~ うん だいたい分かった」
――クリオネの親戚みたい・・・
「その通りです。クリオネはハダカカメガイ。これはクリイロカメガイだと思う」
彼らの正体は「クリイロカメガイ」
実は特に珍しい生き物ではなく、普段は沖合に生息していて、潮の流れに乗って砂浜に打ち上げられることもあるのだとか
30年以上 貝類を研究 松本達也さん「浮遊性で、あちこちに散らばっている。それが産卵期になると集まってくる。水温や海流、条件さえ合えば、いっぺんに繁殖行動を一斉にやる」
今回の大量発生は、繁殖行動の一環か。・・・あれ?ということは?
――ちょっと待ってください!もっと増えるってことですか!?
30年以上 貝類を研究 松本達也さん「・・・わからない(笑)本当に条件が合ったからこんなにたくさんきているのであって、来年も同じかというと、まずそれはないと思います」
正体は分かったものの、なぜ・いま・天草で?というのは松本さんにも分からないそう。ただ、現時点では環境や生態系への影響など心配はないといいます。

30年以上 貝類を研究 松本達也さん「海って“深い”ですからね。まだまだ不思議なことはいっぱいあります」
松本さんによりますと、熊本県天草市牛深でのクリイロカメガイの大量発生は十数年前にも起きていて、そのときにも数は自然に減り、影響もなかったそうです。