水俣病の住民健康調査のあり方について、環境省が設置した専門家による検討会が熊本県水俣市で開かれました。この日(1月24日)の検討会は非公開で行われました。
環境省などによる終了後の説明によりますと、不知火海(しらぬいかい)沿岸住民への健康調査について委員からは、環境省の研究班が開発を進める「脳磁計」と「MRI」を組み合わせた手法について、『おおむね妥当』とする意見で一致しました。
2009年に施行した水俣病被害者救済法では、健康調査を行うように定めていますが、国はこれまで一度も本格的な健康調査を行っていません。
しかし2024年5月、当時の伊藤信太郎(いとう しんたろう)環境大臣が水俣病の患者・被害者団体と懇談した際、環境省の職員がマイクの音量を絞った問題が発生。その2か月後に開いた再懇談の場で伊藤大臣は、団体側が早期の実施を求めてきた不知火海沿岸住民への健康調査について、「遅くとも2年以内に実施できるよう準備を進める」と初めて具体的な実施時期に触れていました。
こうしたことを受け、環境省は疫学調査のあり方に関して専門家が議論する検討会を設置。2024年12月に初会合を開き、今回が2回目となりました。
1月24日の検討会で委員は「脳磁計」と「MRI」を組み合わせた手法について『おおむね妥当』としましたが、団体側は『時間がかかる手法で大規模な調査に向いていない』と懐疑的な見方をしてます。
こうした環境省側の姿勢を受け、「水俣病被害者・支援者連絡会」は、『検討会の開催について事前に何の説明もなく、被害者に対して極めて不誠実な対応。協議は本来、双方が問題点について意見を出しあい、真摯に話し合うことで前進するもの』として、被害者が推薦する研究者を委員に加えるように求めました。









